青への旅路

様々な事を語ったり、ちょっとした旅をしていた記録を残したいと考えて作ったブログです

今さらReturn of the Obra Dinnにはまった話

Return of the Obra Dinn(オブラディン号の帰還)とは、2018年にルーカス・ポープ氏により製作された推理アドベンチャーゲームです。

1803年に行方不明になったオブラディン号が1807年にファルマス沖に戻ってきたものの、そこには60人の乗員乗客の姿はなかった。プレイヤーは保険調査員として、不思議な懐中時計メメントモーテムを使いながらこの船にいた60人がどうなったのかを調べていく、という推理ゲームです。

誰かが誰かに殺された、としてもその誰かの名前がすぐにわかる事は多くないです。船の上で調査をして誰が殺したのか被害者は誰だったのか、を突き止めていきます。

グラフィックも最新のグラフィック、とかそういうのではなく、白黒で写実的な雰囲気で所謂キャラゲーとは違う物です。そして、触れたように普通に殺人事件やグロテスクな場面も多々あります。色があったら一般販売(Nintendo Switchでは17歳以上推奨でした)出来なかったであろう内容ですし、推理の難易度もかなり高いです。故に人を選ぶ所はあるでしょう。

しかし、はまればかなり面白いです。人物の死の瞬間に見えたものから情報を集め、別の情報と照らし合わせ推理を進めていく。そしてその情報が正解となった時の快感が更にゲームを進めていくモチベーションになり、世界に残された謎が気になっていく……。難易度は高いですがやり応えがあり、終わったあとでも「あれは……」とか「これは……」と考えてしまいます。

 

このゲームの噂は聞いており、暇潰しに有名ゲーム配信者がやっていた配信を見て、その内容に衝撃を受けつつ、(推理ゲームと聞いていたのにあの要素があるの?とか)、考察サイトをプレイしていないのに見たりとかしていました。その後も、ちょくちょく思い出したりしていました。これでTRPGのシナリオ作れそうだな、とか。

それが実際にプレーしてここまではまったのは、偶然ファンアートに出会った事です。そのファンの創作を見て、気になっていた気持ちに火が着いてこれは原作をプレイしないと駄目だとなり、実際にプレーしてみました。

配信を見たのはだいぶ前の話だったので、覚えている所もありましたが覚えていない所も多く(何せ、60人分の名前と死因があるので)、あのシーンああなっていたのか……と、初見に近いと自分では思っている衝撃もありました。

配信を知らなければこのゲームに入る事は無かったですし、ある程度知っている情報があったからこそ60人全員を明らかにするまで進められた(初見なら断念していたかも)とはいえ、これは事前情報無しでやっていれば衝撃が大きかっただろうと思います。情報がある状況でもここまで面白くはまったのですから。

記憶を消してもう一度やりたいゲームだ、というのもわかる気がしました。

 

世界の謎は最後まではっきりせず、こうだったのかな?とぼんやりとした推測で終わりますし、なぜこうなったのかも完全にはわかりません。説明もあまりありません。主人公の役割はあくまでも保険調査であり、世界の謎を解く事ではありませんから。

その分、各人の考察を見て考えるというのがまた私なりの楽しみでもあります。

 

出てくるのは白黒の場面で、写実的な上に出てくるのは男性の船員、言うならばおじさんが多くを占めている所でこれにはまる?と思われがちですが、物語を追っていく毎に他人だったおじさんが他人で無くなります。ある所でオブラディンを布教していた言葉でこれを見つけて、そう!それそれ、と大いに頷きました。

で、この感覚なのですが私はサッカーを見ていて、それにはまったのも「ボールを蹴っているお兄さん」が実際のプレイを見たり人柄を知った事で、その選手やチームが他人では無くなって応援する気持ちが出来た、という経験があったのでそれに近い感覚だ、と実際に試合を見ながら思い、ここでこうしてまとめるきっかけになりました。

勿論、スポーツ選手ではないので彼らを応援する事は出来ませんし、彼等との最初の出会いは多くが死体です。既に物語としては終わっています。だからこそ、その前のシーンで彼等の奮闘を見ながら、この時は生きていた彼等の生き方に思いを馳せる……オブラディン号の帰還とはそういう話です。

 

キャラゲーではありませんと書きましたが、こういう見方をすれば一種のキャラゲーでもあります。感情移入できる(ゲーム上それは無い方針とはなっていますが)人物が出来れば、このオブラディン号の帰港がぐっと面白くなり、はまり方も違ってきます。私はそれではまりました。

ちなみにおじさんと書きましたが、それ以外(や、そうではないかと推測される)の人物も勿論います。多分年齢が無かったのは、年齢を書くとゲームの難易度が下がってしまう為に外したのかなと。

 

このゲームで描かれるのは、誰かが死ぬ前の場面のみであり、それ以外の場面が描かれる事は殆どありません。死ぬ前の場面の中には、残酷な物もありますし、一生懸命戦っていた人がこうなるの?!という物、あるいは悲しいすれ違いもあります。だからこそ、生きていた時はこの人達はこんな感じだったのかな?と、場面から見えてくる情報で平穏だった頃の幸せだった頃の様子を、あるいはもしも彼等が無事に航海を出来ていたら……と考えたくなってきます。また、残された側の人達にも、その人にあったかもしれない関係にも想いを馳せる……それほど、魅力的な人物ばかりでした。

 

配信でやっているのを見た、という方もいらっしゃるかもしれませんが、配信で見るのと自分でやるのとは全然違いますし、今回のオブラディン号の帰還をやって見てそれを改めて実感しました。

自分で体験して、自分の目で見てみる事で見つかる物がありますし、そうする事によって物語への入り込み方が違ってきます。自分でやったことにより、配信で見ていた頃よりも好きな人物が増えました。

 

 

とにかくそんな風にしてオブラディン号の帰還にはまったため、自分のオブラディン号の帰還についての想いの丈を書きなぐるような形で綴りました。乱筆乱文で失礼いたしました。