オブラディン号の乗員乗客?について語ってみました 番外編
この記事にはReturn of the Obra Dinnのとても重大なネタバレが含まれます。このページの閲覧は本編をプレイしてクリアしてからを推奨します。
動画で見て知っているという方もいらっしゃるでしょうが、動画で見るのとまた違ってくるので是非本編をやってみてください。
オブラディン号の乗客乗員を語ってみました、番外編です。まだ少しだけ続きます。
何人かは既に書いていたりするのですが、全員を書いて見たのは初めてです。プレイして数ヶ月思ったことを残しておきたくなったためです。
あくまでも私の独断と偏見によるものです。考察内容諸々に関しましては、他の考察を見て納得した物を取り入れそこに更に自分なりに解釈した物を入れたという、ぶっちゃければパクりと取られそうな面もあるのでご了承ください。
勿論、ネタバレが含まれるので繰り返しますがここから先は本編をクリアしてからの閲覧を強く推奨します。
クッションを置きました。ここから先にネタバレが含まれていますので、ご了承ください。
ここからが本編です。長いので何編かに別れていますし、あまりにも長くなりそうなので立ち位置ごとに分けてみました。
かなり長くなった上に今回は番外編ですが読んでいただければ幸いです。
乗員乗客について語るのはあとは加筆修正とかで語るのみではあるので今回は番外編となりそれでは何を語るのかと疑問になるかもしれませんが、オブラディン号の乗員乗客だけではないその他のこの物語に出てくる人達についてです。人、でないものもいますが。というより今回はそれが多いですが。もう少し語りたくなったので語る事としました。
番外編を書くにあたりひとつ気づいた事があります。それは、メメントモーテムという道具は、Return of the Obra Dinnという物語は死に対して大変にフェアであるという点です。ゲームの性質上、色々なところを調べて見て欲しいという所もあるのかもしれませんが、この作品では乗員乗客以外の死の瞬間も描かれています。物語の目的を考えたら触れるのが乗員乗客だけでも特に引っ掛かりを覚える人は少ないでしょう。しかし、乗員乗客以外の船上での死を描いた事で乗員乗客の死だからと特別に扱われる事はなく、それ以外の死を蔑ろにするわけではないという死に対してのフラットな目線があるのだと意識させてくれますし、これがこのゲームの丁寧な点であると考えています。
密航者
オブラディン号61人目の、乗員乗客ではない名無しの乗船者です。死亡状況がわからず、亡くなった後に入っていた樽が移動されていたため移動の時に亡くなったと思っていましたが、タイミングとしてはサミュエルと同じで積み荷の崩れに巻き込まれた形であったと今改めて見て気づきました。
そうなると、サミュエルが死亡した原因となった積み荷の崩れが密航者が存在していた事によるものである可能性がかなり高くなります。密航者がいた事により想定していたより荷物が重くなったためかあるいは樽の中に入っていた密航者が動いたか何かでバランスが崩れ、荷物が崩れてサミュエルがとなってしまったのでしょう。そしその後で密航者自身も気づかれないまま死亡してしまいました。
自由を求めて、とありましたがそこから考えられるのはこの密航者の立場が奴隷もしくはそれに近い立場である事です。当時は奴隷制度に対して人道的ではないとの声も上がってはいましたがそれでも奴隷は存在していました。船の上の生活も過酷ではありましたが、自由のない奴隷の日々はそれ以上だったのでしょう。
密航者が船にいた事でサミュエルの死亡が起きそこからオブラディン号の悲劇が始まってしまいましたが、密航者自身も決して悪意があったわけではなく、ただ自由を求めて船に乗り込んだということからこのようになってしまったというのが実にこの作品らしいですし、また
後に作者のルーカスポープさんが「この時代存在しないようなものとして西洋から扱われていたフォルモサ人の持ち込んだ物がオブラディン号の出来事を引き起こし英国のものを巻き込んだ」と語っていたので、いるはずもないと気にも留められず密航者に厳しかった割には船内を捜索すらもされなかった密航者が一番最初の死のトリガーになったという点ももしかしてそれを意識したのでは?とも考えさせられます。
人魚
すべての元凶となった3匹の人魚です。人魚と言えば人魚姫のようなイメージがあり北欧でもメロウのような人間と結婚することもあるように語られる一方、中国や東洋ではこの話に出てきたような人魚のような恐ろしい物として扱われたり、船の遭難や難破のような凶兆と結びつけられる事もあったようです。
本編では人ならざる見た目と能力を持つ恐ろしい生き物として描かれ、直接間接問わず多くの船員を犠牲にしました。その目的はと言えば、奪われた貝殻を取り返すためでした。実際に綺麗だと貝殻に触れようとしたセフトンの命を奪い、マーティンにより貝殻が返されてからは今までが嘘のようにオブラディン号に手を出す事はなく、約束通りにオブラディン号を港に返しました。
複数の船員を手先の蟹の怪物やクラーケンを使い惨殺しており行った事は相当に酷いですが、大切な宝物を奪われたとなればそのくらいの行動に出てもおかしくはないです。確かに船員は殺されてはいますが、人魚にとって人間は取るに足らない物か貝殻を奪った敵に見えていたのでしょう。また個人の考えではありますが私利私欲のために反乱を起こし殺人を他人に着せ協力者を助ける事もしなかったニコルズの方が約束を守った人魚よりも怪物に近く思えます。
もうひとつ、これは私の妄想の域を出ませんが、デービーやエバンスがモロッコにたどり着く事が出来たのももしかしたら人魚が力を貸してくれていたのでは?とも思っています。オブラディン号のいた洋上から陸地はかなり遠く、海流や天候もあるので4人で船を漕いでたどり着くのは相当運が良くないと難しかったと思われます。また貝殻を取り戻した人魚を運び出した中にはデービーがいるので、敵ではないと判断し約束の通りに手を出さないで助けた可能性も見ています。この辺りの想像とマーティンの言葉を守った点を考えると、本編中では残忍なイメージのある人魚のまた別の顔が見えてくるというのが不思議です。
本編ではオブラディン号の目線で描かれるので人魚は加害者ではありますが、人魚からすれば貝殻を奪われていますし、人魚も2匹船長に殺されてしまっているのでその点から見れば人魚は被害者であるとも言えます。
1807年の場面で海に貝殻の輝きと同じものがあり、それが人魚なのではといわれていますが、そうなるとその時のオブラディン号を見ていたことになるのですが、調査員の事をどう見ていたのでしょうか。もし、この船に何かの手出しをするようであればそれこそ調査員が海の藻屑になっていたかもしれません。
人魚が怪物であるのを見ると、もしかしたら今でもどこかにいるのでは、そんな気もしてきます。
蟹の怪物
蟹ライダーなどと呼ばれている、6章にて大暴れしたタカアシガニのような生き物の上に人のような物が乗っているように見える怪物です。6章で船尾倉庫に向かっていたことを考えると、人魚が助けを呼んだのかそれとも怪物が自ら人魚を助けに行ったのかはわかりませんが、人魚と関わりのある存在であるのがうかがえます。
そして、その最中で数多くの船員の命を奪いました。炎に包まれたところで動きを止めたチャールズと、相討ちをした親方がいなければもっとこの怪物による犠牲は増えていた事でしょう。逆に言えば、誰かが犠牲にならないと止められないほどに強力な生き物であったという事です。確かにあの爪は、一撃すらも食らいたくないです。その怪物に対して必死に戦った海の兵達の偉大さが本当によくわかります。
この怪物に対してある面白い説を見まして、それが「怪物の正体は4章で死んだロシア人船員2人だったのでは?」という物。振り返ってみれば4章で海に引きずり込まれたロシア人船員は2人ですし、しかも人魚がそうしているので殺すためというよりも、仲間にするために海に引きずり込んだというのも納得できます。もしもそれであれば、船尾倉庫に向かっていたのも人魚を助けに行ったとかではなくて、生前と同じように宝を取りに行ったつもりだったのでは?という想像も出来てしまいます。怪物自身も自らが怪物になったことに気づかずにいきていて「また戻ってきたのにアイツらなんで俺たちを襲うんだ」位の感覚でいたとかありそうですね……。
クラーケン
犠牲は出てしまったものの、蟹の怪物を退治したオブラディン号に無慈悲に襲いかかった怪物です。推理ゲームだと思って始めた人が、アビゲイルの残留思念を追う場面でクラーケンの姿を見て大いに驚いたのもオブラディンあるあるのひとつでしょう。
クラーケといえばイカのイメージが強く本編でも「大イカ」と言われていますが、近世の北欧に伝わっていた話としては巨大タコと見なされているそうです。更に歴史を辿れば1700年頃が初出のようなので、実は本編の時間軸からすれば新しい怪物になります。現代で言えばクトゥルフ神話とかあの辺りの怪物が目の前に現れた、的な感覚なのでしょう。
このイカとタコの相違については、クラーケンの伝承としてはタコでも、その伝承の元となった生物なのではないかと言われているのが大イカなのでクラーケンは大イカのイメージが強くなったようです。本編ではデービーズとクレスティルは怪物を″squid″、つまりイカと呼んでいる一方で船長は″Kraken″と呼んでいて微妙な違いがありますが、これは北欧出身のダールが司厨手としていたため船長がこの生き物をクラーケンだという知識を持っていた為と思われます。
ちなみに、本編にはダールとリンデの北欧出身者がいますがダールは船尾倉庫で亡くなっておりリンデはクラーケン登場に亡くなっているのでどちらもクラーケンの姿を見てはいません。もっとも、彼らがクラーケンの姿を見ていたとしても大勢は変わらなかったと思われますが。
蟹の怪物は複数人の船員が犠牲にはなりましたが、何とか倒すことが出来た一方でクラーケンに対しては何をやっても効かず犠牲が増え、マーティンが貝殻を返してようやく帰ったという辺り、クラーケンが圧倒的な力でねじ伏せてきたという印象がかなり強いです。当時の海の上では大きな力を持っていた英国の船でもクラーケンの前ではあまりにも無力で小さな存在である、そしてそのきっかけを持ち込んだのはそれこそクラーケンにとっての人間のように取るに足らない物と見られていたフォルモサの人達であると考えると皮肉ではあります。
私は乗員や乗客もこのゲームに欠かせない存在ではありますがクラーケンもまたReturn of the Obra Dinnというゲームはこういう作品だと伝える象徴的なものであるとも考えています。プレイヤーが慣れてきた頃にこのゲームの世界観を提示し、どのような立場であったとしても戦い一生懸命に生きていても関係なく死を運んできたからです。それが死に対しての扱いが平等なこのゲームに近しいものがあるように思えます。
クラーケンは貝殻が返されてから去っていきその後は明らかになっていませんが、もしかしたら人魚同様にどこかの海の底にまだいるのかもしれません。
保険調査員
このゲームにおける我々、というかその目を借りてオブラディン号で起こったことを見ている存在です。この手のゲームですと調査をするのが探偵だったりするのがよくありますが、探偵であると依頼人に身贔屓をしがちになるので公平でなかったり、保険調査であれば平等でかつ保険調査員それぞれの判断で死因の見立てが変わったりそれで査定額が動く、というのが出来るというのをどこかしらで見てなるほどと感じました。その点でも上手く出来てます。探偵とかであればズンギの死因周りの判断は変わってくるでしょうね。
エバンス医師の手記を片手に船上で乗員乗客の身元を確認する、という事だけで他は何もしませんし、エバンス医師との関係や会社でどのような立場にいたかというのは描かれていません。だからこそ、その後どうなったのか等の想像が膨らむわけですが……。そして、保険調査員のやり方次第で調査を十分にしないでエバンス医師がショックを受けて死んだり、優秀な調査員としてエバンス医師が満足してあの世に行ったりします。私の場合実績云々よりもエバンス医師がショックで死んだ世界線があっては可哀想だと思ったので結構頑張りました。
エンディングでは手記は保険調査員の書斎に入れられ、オブラディン号は嵐で沈みオブラディン号に起こった真実を知るのは保険調査員のみとなります。正確にはモロッコで生存しているデービーとジェーン嬢とエミリーも知っていますが、彼らはおそらくオブラディン号の事を外に語るつもりは一生ないでしょう。なので、この後オブラディン号の事に触れないでおくのも、この話を誰かに伝えるも調査員である貴方次第、となります。それこそ乗員乗客の運命の判断に複数の正解があるように、どちらが正しくてどちらが間違っている、という物ではないと考えています。
小舟のおじさん
序盤と調査終了後に出てくる、主人公をオブラディン号まで運んだおじさんです。曰く付きの船へと運んでいくというのも結構断りたい仕事ではあると思うのですが、東インド会社からの依頼となれば実入りも良くて仕方なく、だったのでしょうね。実は本編に出てくる数少ない保険調査官の会った生きている人間であります。
このおじさんはある意味でオブラディン号に関わったと言えば関わった人物ですが船で何があったかもわからないしオブラディン号が沈んだ報を聞いてもああ、呪われた船だったんだなあれは、でそれ以降は船の事を考える事もない、というか考えたくもないかもしれない一般人になるのでしょう。ホラー小説とかですと、この手の人が語り部になりがちですが、その目線のオブラディンも面白いかもしれません。
牛
このゲームは死に対してフェアである、という旨を書きました。で、あればこちらに触れないわけにもいかないでしょう。他にも動物が乗っていたようですが、そちらは本編での描写が全くないのでご容赦ください。
牛は2章の中で士官候補生とオファレルにより殺された牛です。牛が船の中にいた理由としては、食肉のためというよりもチーズやバターの乳加工品を作る目的だったのではと推測されます。なので、本来この時期に牛を殺すつもりはなかった筈です。
そうなったのも、肺病での死者が2人もオブラディン号から出てしまった為です。肺病での死者と牛に何の関係がと思われるかもしれませんが、当時は牛が感染症を媒介すると言われていたのでそのために殺されたという説を見てかなり納得したのでこうではないかと考えています。そしてそれ以降病気で死んだ人はおろか、病気にかかった人もいないので効果があったと思われていそうですが、現代の感覚からすれば根拠のない迷信で牛をスケープゴートにしたとも取れます。なんだか3章のホクセンを思い出してしまいます。
これはあくまでも私の推測や憶測や妄想レベルなのですが、暗に自分が牧場に行った事があると触れていたピーター辺りが、関係のあったオファレルさん経由で他の士官候補生仲間と共に牛によく挨拶をしていて、牛に親しみを感じていたのではと考えてしまいます。そういう状況で牛を殺した、となるとこのシーンの見方も変わってきます。少しずつ親しみを感じていた牛を屠殺するのに耐えられずチャーリーは吐き、ピートは勤めていつも通りであろうと軽口を叩いた、のかもしれません。考えすぎかもしれませんが。
そんな牛ですが、元いた所に骨が飾られて葬られています。この牛はこの後に起こったオブラディン号の悲劇をどう見ていたのでしょうか……。
以上となります。船員達を語ったのであればどうせなら、と船員以外の人達について触れてみようとも考えましたが思いの外彼らも個性豊かで書いていて楽しかったです。人物語り系の話はここで一区切りとなりますが、これ以降は本編に対しての考察や考えた事などを時間があれば書いていきたいと考えています。
読んでいただきありがとうございました。
オブラディン号の乗員乗客について語ってみました Part12 (12of12) 56~60
この記事にはReturn of the Obra Dinnのとても重大なネタバレが含まれます。このページの閲覧は本編をプレイしてクリアしてからを推奨します。
動画で見て知っているという方もいらっしゃるでしょうが、動画で見るのとまた違ってくるので是非本編をやってみてください。
オブラディン号の乗客乗員を語ってみました、第12回目です。最終回です。
何人かは既に書いていたりするのですが、全員を書いて見たのは初めてです。プレイして数ヶ月思ったことを残しておきたくなったためです。
あくまでも私の独断と偏見によるものです。考察内容諸々に関しましては、他の考察を見て納得した物を取り入れそこに更に自分なりに解釈した物を入れたという、ぶっちゃければパクりと取られそうな面もあるのでご了承ください。
勿論、ネタバレが含まれるので繰り返しますがここから先は本編をクリアしてからの閲覧を強く推奨します。
クッションを置きました。ここから先にネタバレが含まれていますので、ご了承ください。
ここからが本編です。長いので何編かに別れていますし、あまりにも長くなりそうなので立ち位置ごとに分けてみました。
かなり長くなりますが読んでいただければ幸いです。
今回取り上げるのは甲板員の皆様第3回目です。この時代は船員が足りなくなりがちで、ではどうやって連れてくるかと言えば船員を徴収する担当の人が身分を隠して酒場に入り一緒に酒を飲む、時には相手に飲ませた上で、大量の酒を消費させてお金が払えないとなりそれならばと船に連れていったそうです。本編でも損害査定書で「未払賃金」とありましたが、この時代船員の給与は前払いではなく、港に帰ってきてから給料が払われしかも航海の途中で使ったお金はそこから引かれる形となっていたそうです。勿論、酒を飲ませて連れてきた人の酒代も給与から引かれます。また、その時運悪く酒場にいた人を無理矢理つれてきた強制徴収というのもあったそうです。
そこまで船員が足りないのであれば給料を上げたり待遇をよくすればとも思いましたがそれは現代の感覚であり、当時はいかに安い船員をこき使うかという事に意識が向いていたという話もあったので、そのような考えが無く船員の存在や命が軽く扱われていた大変な時代でした。
そんな中で一生懸命に生きて命を散らせた、"ごく普通の人達″の物語がReturn of the Obra Dinnです。これまで続いてきたオブラディン号語りもこれで最後、お読みいただければ幸いです。
56 甲板員 ヘンリー・ブレナン
最初の方に出会う人間なのに、名前の判明が後になりがちであり「誰なんだお前は」と言いながら手がかりを探していた人も多いのではないかと推測される、大変に印象に残りやすいニット帽のおじさんです。9章のシーンで名前を呼ばれて耳を傾けていたのが特定のポイントのようですが、見逃してしまいやすいですしそこで?となりますよね……。
とある洋ゲーのオンリーイベントでは船長を差し置いてイベント告知のバナーに登場したという辺り、ある意味でこの人が作品の顔でもあるとも言えるのかもしれません。それもそのはず、登場回数が一番多いのが彼です。
そして登場回数の多さ以上に目を引くのが、プレイヤー目線では序盤となる終幕のシーンで船長に対して殺る気を見せ、9章でもヴィアテルを成り行きで殺害してしまい困惑するデービーズを事情も聞かずに勢いよく殴り殺すと、人を殺しに行く場面が目立つこと。更にこれは殺人の人数に入りませんがホクセンを正確な射撃で処刑しています。殺戮隊長だの殺戮ニット帽だの撲殺ニット帽だのとんでもないあだ名がつくのも無理はありません。
ですが、そんな彼にも人間らしい感情を見せているのではという所があり、5章でタンの巻き添えになり人魚のトゲに殺されたハマドゥの遺体の側にいて、落ち込んでいるとも悲しんでいるとも見える場面がありました。
船員番号もハマドゥとブレナンが隣同士、そしてハンモックも同じ区画だった上に5章であのような場面があれば、ハマドゥとブレナンは大変に仲がよくハマドゥの所でも書きましたがそれこそ兄弟のように日々を過ごしていたのではないかとも考えられます。完全に見た目からの判断ですがブレナンが先輩としてハマドゥに仕事を教えていたのでしょうか。
そんなハマドゥが船長の持ってきた人魚がきっかけでああなってしまったのであれば、既にこの時点から船長に対する不信が芽生えていたのかも知れません。6章の序盤や7章の砲列甲板にもいたので尚更、この場面で居なかった船長への疑念が沸いてしまい10章で船長から貝殻を奪おうとしたのでしょう。
全ての事実が判明した立場で10章でのブレナンを見ると自分が生き残るために、そしていなくなった仲間の仇を取ろうと強い意思と殺意があってああなったのだな、と思います。船長の貝殻はない、にすぐに嘘だと切り捨てた所に静かな怒りを感じました。
殺人の罪は犯してしまっていますが、天国でブレナンや他の仲間達と出会えていて本編では見せなかったような穏やかな顔を見せて過ごせているといいなと思います。
57 甲板員 アレクサンダー・ブース
黒人船員のひとりで、見た目でこの人を同じ黒人のハマドゥと予想しあれ?となった人もいるはず。様々な理由でイングランド出身の黒人はこの時代数は少ないながらもいたそうです。
この人は驚いている場面が多く、一部では顔芸とも言われています。ただ彼がいた場面が1章の事故現場だったり、7章のリンデ撲殺の場面だったので驚いた顔が多いのも無理はないでしょう。
7章でこいつのせいじゃない俺は見てた、とネイサンに冷静になるように言い最後にはやめろ、と強く言った辺り揉め事とかそういうのをあまり好まない性格だったのでしょうか。ネイサンの熱くなりやすい性格を日常的に止めていたのがブースだったというのはあったかもしれませんね。事務長とネイサンとブース、本編での絡みがないので何故このメンバーで脱出しようとしたのかという疑問が出てきますが、ネイサンとブースが日頃仲良かったとかはありそうです。とてもどうでもいい話ですが、Bリーグ見てると「ネイサン・ブース」という選手がいるので否応もなしに脱出未遂組を思い出てしまいます。
船をひっくり返されて海に転落しているので助かった可能性は低いでしょうが何らかの形でうまく行って助け出された3人や、クラーケンに捕まらずにうまく抜け出せた3人の「もしも」があるのではないか、とついつい想像してしまいます。
58 甲板員 パトリック・オヘーガン
生きてるか?!(生きてません)の人。パトリックという名前はアイルランドでは守護聖人のパトリックに由来する名前であるので、彼の家族が愛国心の強い人で彼自身も愛国心が強かったのではないかと思っています。
そのアイルランドは1801年にイングランドに併合されているので、イングランドの船でのしかも甲板員としての勤務は彼自身もかなり複雑な物があったでしょう。私は反乱の主犯はギャリガンだったという考えなのでギャリガンが同郷のオヘーガンを反乱に誘い、そのオヘーガンが仲間のトポロフ(船上裁判で共に銃を打っている)、トポロフから同じロシア人のニキシンを集めたとみています。ギャリガンからは祖国のために必要な事だとか言われて協力したような感じがします。
オヘーガンは3章のシーンでティモシーがニコルズに撃たれた際、ニコルズの横にいて若干厳しいとも取れる表情で撃たれた先を見ているようにも思えるので、もしかしたらティモシーに対して何か思う所があったのかもしれません。ティモシーの出身はスコットランドで、スコットランドとアイルランドは共通するところもあり仲が悪いわけではないようです。イングランド人船員とは距離を感じており、言葉の通じない外国人船員ともちょっと、であればティモシーが船員で比較的話の出来た相手だったとかはありそう。
そして、海の上で怪物に遭遇し、この時に武器をとニコルズに言っているのに当のニコルズはいいから漕ぎ続けろ、といいそこで人魚に槍で刺されて亡くなってしまいます。ニコルズが漕ぐのをやめて、言う通りにオヘーガンに武器を渡していれば助かったかもしれないのに。その一方、これはフォロワーさんが語っていた事での気づきですが、人魚の出現後ギャリガンが最初に「生きてるか?漕げそうか?」と言っていたのは、ギャリガンなりに同郷のオヘーガンを気にかけていた台詞であるようにも見えてきます。
ニコルズが自分の言う通りにしなかったが故に死んでしまい、反乱計画もうまく行かなかった事にあの世のオヘーガンも納得がいってないでしょうが、そこにティモシーが「難しい顔してないで、まぁ飲めや」とか言ってふたりでお酒を飲んでいるのかも。オヘーガンとティモシー、生前も飲み仲間だったような気がします。
59 甲板員 ジョージ・シャーリー
てっぺんははげていてサイドには髪が残っているという記憶に残りやすい姿をしているおじさんです。見た目からすると、この人も経験豊富そうな感じがします。
見ていけば見ていくほど味のある、まるでスルメのようなおじさんです。この人に出会うのはまず死の場面からというケースが多そうですがこの人の死は怪物により火のついた大砲を向けられてしまった掌砲長を助けようとして間に合わず……で、死の瞬間が記録されているにも関わらず船の外に吹き飛ばされて遺体が見つかりません。そして査定書にて「著しく勇敢な行為」がシャーリーに付けられています。いくら上司に言われたとはいえ、導火線のついた大砲が自分に向いているとどうなるかなんて想像がつきますから掌砲長を助けに行かなくても責められないのにシャーリーはそこで掌砲長を助けに行って亡くなってしまった……。その勇敢さに涙が出ます。
そしてその前の場面で中国人檣楼員のリーと楽しそうに食事を取っていました。別の箇所ではとんでもないことが起こってはいますが、このシーンはこれまでもあったような穏やかな日常です。シャーリーのハンモックは中国人檣楼員4人と同じ箇所にありましたし、船上の宴のスケッチでもジャンと一緒にサイコロのような物で遊んでいたのでシャーリーは中国人檣楼員ととても仲がよかったのだと推測されます。たった1人になってしまった中国人のリーを、同じ区画にいたシャーリーが励ましていたというのもあったのかもしれません。そのリーは7章その7で火薬を持ってクラーケンに応戦していたので、いかにシャーリーが慕われていたかというのがよくわかります。仇を取ろうとしたのでしょうか……。中国語が少し出来たとかそういう理由で中国人の区画にいて、最初は距離もあったけれども徐々に仲良くなっていったとかの物語が見えてきて。なんでこの話、Return of the Obra Dinnだったんでしょうか……。
行動を追えば追うほど、この人がいい人だったのではないかというのが伝わってきます。そういう人の所にも死が訪れるというのが無情ですね……。空の上であの時中断されたであろう食事の続きを、他の中国人乗組員達も一緒にしていて欲しいです。
60 甲板員 サミュエル・ピーターズ
この船員語りのトリを飾るのは、ネイサンの兄さんサミュエルです。船上の宴のスケッチでも兄弟一緒で仲の良さを伺わせます。それに、ネイサンがお兄さんを殺されたと思っている恨みをずっと抱えていたという所からも本当に仲の良い兄弟だったというのが伝わってきます。仲悪かったらそこまではしないでしょうし。そして、ネイサンの区画のみハンモックがネイサンとリンデとオミッドの3つとなっていたのは本来はサミュエルがいる予定だった、というのもどこかで見てネイサンは様々な形でどうしても兄の死を意識させられてしまい、それなのに兄の代わりに見る顔が謝りもしなかった兄の仇だったというのも見えてきて。
兄弟なのに船員番号が連続していない事について、ある方が「もしかしたら最初はサミュエルが乗る予定は無く、ネイサンが乗るとわかってから後で乗ったのではないか。その為に兄の死に負い目と責任を感じていた?」という想像をしていたという話を見て、それならばリンデを余計に恨んでしまうのもわかりました。
もしも出発早々に荷物の崩れによりサミュエルが亡くなっていなければ、ネイサンもリンデもお互い破滅的な結末を迎える事はなかったでしょう。オブラディン号からすれば、その時は末端の船員が事故で亡くなっただけのことでしたが、それが知らぬ間に最悪の結果へと繋がり続ける悲劇の扉を開いた出来事であったのかもしれません。これ関わっていたのが船員番号が一番最後人間だった、というのが意味深に感じられます。
あの世で弟の事を心配しながら見守っていたであろうサミュエルがは今頃ネイサンとの兄弟水入らずの時間を過ごしている事でしょう。
ここまで60人分の船員語りを行ってきました。色々な人がやっていたのを見て、それならば私もやってみようと始めましたが、完成まで1年以上の時間を要しました。私自身がひとつの事に取りかかると物事が一気に進む一方で、少しでも時期が空くと全然何も進まなくなるタイプなのでこうなってしまいました。お待たせしてしまい、大変すみませんでした。
船員語りをするに際して、調べて始めて見つかった事実や気づきもあり様々なことが参考になったと同時に、とても楽しかったです。今後も船員語りを加筆修正したり、Return of the Obra Dinnについてまた書きたいので、その際はまた読んでいただければ幸いです。
それでは。
オブラディン号の乗員乗客について語ってみました Part11 (11of12) 50~55
この記事にはReturn of the Obra Dinnのとても重大なネタバレが含まれます。このページの閲覧は本編をプレイしてクリアしてからを推奨します。
動画で見て知っているという方もいらっしゃるでしょうが、動画で見るのとまた違ってくるので是非本編をやってみてください。
オブラディン号の乗客乗員を語ってみました、第11回目です。
何人かは既に書いていたりするのですが、全員を書いて見たのは初めてです。プレイして数ヶ月思ったことを残しておきたくなったためです。
あくまでも私の独断と偏見によるものです。考察内容諸々に関しましては、他の考察を見て納得した物を取り入れそこに更に自分なりに解釈した物を入れたという、ぶっちゃければパクりと取られそうな面もあるのでご了承ください。
勿論、ネタバレが含まれるので繰り返しますがここから先は本編をクリアしてからの閲覧を強く推奨します。
クッションを置きました。ここから先にネタバレが含まれていますので、ご了承ください。
ここからが本編です。長いので何編かに別れていますし、あまりにも長くなりそうなので立ち位置ごとに分けてみました。
かなり長くなりますが読んでいただければ幸いです。
今回取り上げるのは甲板員の皆様です。甲板員は5人ずつ3つに分かれています。
オブラディン号の船員は多種多様な国籍ですが、そのような船員がどのようにして集められたかという件に関して、直接的な形ではないですがインタビューで作者のルーカスポープさんが答えており、航海した先から付いてきたり、時には誘拐(!)もして世界中から船員を集めたのだとか。実際の船もそうなのでしょう。
ただ異なる点として、オブラディン号の船の規模ですと本来はこの倍の人数、つまりは120人で動かしていたそうです。それが60人となったのは、120人だと多すぎてしまう、というのが理由だとルーカスポープさんは答えていました。確かにこの倍いたら、私はゲームを投げていたでしょう……。
それはそれとして、甲板員第2回目です。
51 甲板員 レンフレッド・ラージューブ
本編を見ていても本当に仲がよかったのだろうなぁというのが伝わってくる、4人いるインド人船員の1人です。
インド人船員についてですが、彼らの待遇は酷いものでヨーロッパ人や黒人の船員よりもはるかに低い給与で(白人船員の半分という話もあります)、長時間の労働を課せられていたそうです。その上インドへ帰る船を待つ間何もせずに待機せねばならず、その為の場所がなかった事もあるのだとか。作中でも出てくる「インド人水夫の待機所」にいられるのもまだいい方だったとは……。
この辺りの話を考えるとこの二人が病にかかり他の人達は皆健康、という事態であったとしても無理はないと感じました。
いずれにしても、過酷な環境の中でインドに戻れる日を夢見て働きようやくインドに帰れる船に乗れたという背景があるのを考えると、インド人船員達の死がより悲惨に感じられます。そして仲良かったんだなぁと思った彼らの関係がより重く見えてきます。仲間同士で励まし合っていたのでしょうか……。帰れなかったのが、仲のよい4人が引き裂かれるような死に方となってしまったのがとても辛くなります。
ラージューブはサイドに続き病に倒れてしまいますが、それよりも前の1章では樽を持ち上げているほどでエバンスの話の通りならばこの時に既に病に感染していた事となりその中でこうして働けていていたのが無理をしていたようにも思えてきます。それとも、働いていて一気に悪くなってしまったのでしょうか。
ラージューブが亡くなるシーンで、ワシムが外で心配そうにしながら座り込んでいましたが恐らく仕事もあるのにそこにいたということは仕事どころじゃなかったのでしょう。そして、その後マーティンからの知らせを聞いた時の落胆はどれほどの物だったのか……。背景も考えるともう言葉になりません。
向こうの世界でまた4人で仲良く、きつい労働をする事もなくのんびりと過ごしている事が出来ますように、ただそれを願っています。
52 甲板員 アブラハム・アクバル
人のよさそうな見た目をしている一方で、ハンモックの番号で身元を調べようと思ったら使っていたハンモックの番号が″X″で面食らった調査員も多かったと思われます。
2章ではサイドの遺体の前でうなだれていますが、彼らの背景を考えれば仲間がいなくなってしまうというのは相当悲しかったでしょう。更に同じ病でラージューブも失い、ワシムと2人で頑張っていこう一緒にインドへ帰ろうとしていた矢先にワシムも亡くなってしまいます。しかもこの時、バランスを崩してしまったことによりアクバルも荷物から手を離してしまったので、あそこで荷物を手放してしていればワシムは死ななかったと思っていたかもしれません。
それでもひとり残されながらも最後までオブラディン号の船員で居続けようとしたという所で彼がインドへ帰る未来があって欲しかったのですが、船のために戦おうとした矢先にクラーケンに握り潰されたというのが残酷すぎます。
更にそのシーンで大砲に火をつけていたがために、掌砲長とシャーリーも巻き添えになり、この部分の調査員の判定次第では掌砲長とシャーリーを殺した扱いとなり、彼に罰金が請求されます。アクバルに原因があるのを不正解にする方がフェアではないのも納得できますが、遠い国できつい環境で一生懸命に仕事をしてて、仲間を失ってインドに帰りたかったのにそれが叶わなかった上に、インドに残された彼の家族に罰金請求が行くなんてあまりに辛いです。その辺りも考えて、私は掌砲長とシャーリーの殺害を行ったのは怪物としました。
ひとりだけ生き残っていた彼の心の中に、仲間の魂と一緒に故郷のインドに帰りたい気持ちがあったでしょう。インドには戻れませんでしたが「アクバル、お前さんをずっと待ってたんだよ」なんて感じで彼を迎える声が聞こえたような気がしました。
53 甲板員 ウィリアム・ワシム
インド人達の中で唯一帽子を被っているので印象に残りやすい人です。2章のその1では咳き込むサイドに対して2章のその2で医務室の外で心配そうに座っていたりするのを見るに、優しいというか面倒見のよいタイプだったのだなと思わせてくれます。他のインド達の面倒も見ていたのかもしれません。
ワシムの死も不運な物で、セフトンが人魚を刺激してしまいバランスを崩してしまった結果その先に樽があり担架と樽の間に頭を挟まれて死亡という物です。階段からの転落でも正解になります。いずれにしても、その先に樽さえなければ、セフトンが余計な事をしなければワシムが死ぬことはなかった訳で、不運の連鎖により悲劇が起こってしまう辺りがReturn of the Obra Dinnだなと思わせてくれます。でも、過酷な環境の中で一生懸命に生きてインドに帰る日を待っていたワシムを選んだのが残酷です。
ラージューブとサイドが病で亡くなった後で、残されたアクバルとどのような話をしていたのかとかを考えてしまいます。反乱があった後で、俺達もああやって抜け出せたかもと一瞬だけ思いながらもそれを否定して一生懸命に働いてインドに帰ろう、そしてずっとふたりの事を忘れずに生きていこう、とかお互いで誓って航海を続けていたのでしょうか。
面倒見のよさそうなワシムの事、死んだ後でもアクバルの事を心配していてアクバルがワシムの所に来た時「お前さんはインドに帰って欲しかったのに……」と心から残念がっていそうです。ふたりや他のインド人達の忙しくも穏やかな日々が見たいですね。
54 ソロマン・サイド
インド人4人の中で一番最初に病に倒れてしまった人です。ズンギも含めて皆が悲惨な亡くなり方をしているインド人ですが、先の背景を踏まえるとその悲惨さが更に増してきます。
インド人4人の中で船員番号が一番後である所を見ると、もしかしたら彼が4人の中で一番の後輩だったのかもしれないなとも考えています。色々3人から仕事のやり方を教えてもらっていたりしたのでしょうか。
彼は病気で亡くなってしまいますが、この病気に関して密航者から感染した物ではとの考察もありますが私は違うと考えています。何故ならば近くでの咳でワシムとアクバルが感染しない程に感染力が弱いのに密航者のいた樽に触れた事で感染するというのは矛盾していますし、このゲームはミスリード目的で全く見当違いの事を言うのはないと思われるゲームです。エバンスが「水夫の待機所で感染したのではないか」と言っているのであればそうなのでしょう。そしてこのゲームは一部例外はありますが一つの章で起こった出来事はその章で解決するようになっているように見えます。もし密航者が原因であれば、密航者の死が2章の頭に来る気もします。
また何故インド人の中で病死したのがサイドとラージューブだったのかという事に関して船上の宴のスケッチ上でサイドは酒を飲んでいるように見えるが実はこれが水タバコを吸っていて、ラージューブと水タバコを共用していて感染したのでは?という考察も見ました。確かに水タバコ共有であれば感染してもおかしくないですし、喫煙者であれば一気に肺が悪くなってしまった理由としては説得力があります。ただインド人水夫の扱いの悪さを考えると水タバコを喫煙出来るお金があったのかという点が怪しくなりますが。船上の宴ということで船長辺りが用意してくれたのでしょうか。
インド人4人の最期はあのような形でしたし、彼らの背景は過酷であったと考えられますがそれでも、同じような状況の気心の知れた仲間との心が安らぐひとときがあったのかもしれない、いえそれが彼らの日常にあって欲しいと心から思います。
55 甲板員 ハマドゥ・ディオム
オブラディン号の中にいる黒人船員のひとりです。彼の出身地であるシエラレオネは西アフリカの国で、解放された奴隷の定住地として計画され、オブラディン号が見つかった年の翌年1808年に英国の植民地になります。その前からもこの地域で奴隷狩りが行われていたので、もしかしたらハマドゥも奴隷だったのかもしれませんが18世紀後半以降は奴隷廃止運動が起こりつつあったので奴隷というよりは入植者によって英国に連れてこられたという説も考えられます。見た考察の中には密航者説もありました。
ハマドゥと言えばやはり、本編の中で一番忘れられない人も多いニット帽のおじさんブレナンでしょう。9章で四等を撲殺したにも関わらず全く取り乱す様子もなかったブレナンが、5章でのハマドゥの遺体の前で落ち込んでいるように見えます。鬼の目にも涙、という印象を抱いた人も多いのではないでしょうか。この様子と、ハンモックが近くにあった事を考えるとハマドゥとブレナンはとても仲がよかったのだろうなと思えます。この時代の船でハンモックが同じ区画だった人達は兄弟のような関係になるという話も聞いたので、家族から離れ遠くに来ているハマドゥにとってブレナンは頼れる兄のような物だったしょうし、ブレナンもまたハマドゥを可愛がっていた事が想像できます。それほどの関係の相手を失ってしまったブレナンの悲しみは相当大きかったでしょうし、ハマドゥの死がブレナンの船長や航海士への不信を膨らませてしまったのかもしれません。
向こうでブレナンと再会していて、また一緒に兄弟のように過ごしていて欲しいですね。
オブラディン号の乗員乗客について語ってみました Part10 (10of12) 46~50
この記事にはReturn of the Obra Dinnのとても重大なネタバレが含まれます。このページの閲覧は本編をプレイしてクリアしてからを推奨します。
動画で見て知っているという方もいらっしゃるでしょうが、動画で見るのとまた違ってくるので是非本編をやってみてください。
オブラディン号の乗客乗員を語ってみました、第9回目です。
何人かは既に書いていたりするのですが、全員を書いて見たのは初めてです。プレイして数ヶ月思ったことを残しておきたくなったためです。
あくまでも私の独断と偏見によるものです。考察内容諸々に関しましては、他の考察を見て納得した物を取り入れそこに更に自分なりに解釈した物を入れたという、ぶっちゃければパクりと取られそうな面もあるのでご了承ください。
勿論、ネタバレが含まれるので繰り返しますがここから先は本編をクリアしてからの閲覧を強く推奨します。
クッションを置きました。ここから先にネタバレが含まれていますので、ご了承ください。
ここからが本編です。長いので何編かに別れていますし、あまりにも長くなりそうなので立ち位置ごとに分けてみました。
かなり長くなりますが読んでいただければ幸いです。
今回取り上げるのは乗員乗客の中で15人、割合としては1/4と人数としては一番多い立ち位置の甲板員の方々です。甲板員は一般の船員であり船内の役職としては一番下ではありますが船の運行に欠かせない職業となっています。
ただ、当時の感覚としては言い方は悪くなってしまいますがいくらでも替えの利く下っぱ船員扱いだったようで本編の損害査定書を見ても10ポンド、現代の貨幣価値に直すと70万円から80万円の賃金でした。波にさらわれたりする危険もあるのを考えれば安すぎますし、これならば反乱の誘いに乗ってしまうのも仕方ない気がします。そんな中で自らの仕事をこなしていた彼らを振り返っていきましょう。
46 甲板員 アラルクス・ニキシン
ロシア人の甲板員であると同時に、ニコルズの反乱に乗った1人でこちらは胸の開いた服と髭が特徴です。
Fandomで見たのですが、アラルクスというのはロシアの名前としては誤りで、その為ロシアのローカライズではAlexander、つまりアレクサンドルとなっているそうです。これだとトポロフと名前が被るのではとなりましたがアレクサンドルとアレクセイは似てるけど別の名前なのだとか。ずっとアレクサンドルのロシア語系がアレクセイだと思っていました。
彼とトポロフはニコルズの反乱に荷担した結果、人魚により海へと引きずり込まれていますが、これを「人魚にナンパされた」と表しているファンアートを見た時その発想は無かったなと感心しました。確かに船員ならではの体格は人魚が好んでも不思議ではない気もしてきます。
同じロシア人の中で反乱に加わったのはニキシンとトポロフの二人で檣楼員のボルコフはいませんが、これについては甲板員と檣楼員の立場や給与の違いも勿論あったでしょうが、二人はボルコフを内心ではあまりよく思っていなかったのではとも見ています。イカサマするなと言っている横からイカサマに見える事をしていた点や本編でのボルコフの行動を見ると、憶測ではありますがギャンブルでカモにされていたとか立場の差を盾にボルコフから強く当たられていたはありそうです。もしかしたらボルコフを出し抜いてやろうという気持ちもあったのかもしれません。
そんな背景があったのではと考えますと、反乱に乗ってしまった彼とトポロフにもある程度の情状酌量の余地が見えてきます。
47 甲板員 アレクセイ・トポロフ
ロシア人甲板員のパイプを持っている方です。私は4章でパイプを持っていたことを見逃し、ロシア人の身元判明が中国人よりも遅くなりました。見てみたらめちゃくちゃパイプ吸ってますね。周りの人から煙たいとか言われなかったんでしょうか。
この人は船上裁判にてホクセンを撃った4人のうちのひとりでもあり、その4人の中には反乱に加わったオヘーガンもいたので恐らくオヘーガン経由で反乱の話があり、そこからトポロフがニキシンに話をしたのでしょうか。
トポロフとニキシン、ボルコフとの役職の違いを考えると2人とボルコフとで同じロシア人でありながら出自とか英国まで来て船に乗った経緯が違っていそうに見えます。
ロシア人船員3人は皆、損害査定書にて「相続人の所在不明」とされています。この点については1807年に英国とロシアの間で戦争があり、またその前からロシアの皇帝の政策もあり英国と敵対関係にあったため所在を調べられなかったのではと考えています。国交を断絶しているので調べさせてくれるとも思いませんし、その為の手間もかかるので不明という事にして出費請求のみで済ませたのでは、というのが見えてきます。
また、もうひとつ理由として考えられそうなのが彼等がロシアから逃げてきた立場なのではないのかという点です。当時のロシアは農奴制となっており、農奴の生活はかなり悪く逃亡した人も多かったのだとか。ロシア人船員たちがその立場で英国までやってきた、となってもおかしくはないでしょう。
トポロフもニキシン同様に自由を求めてか、あるいは今よりもよい生活を求めてかニコルズの反乱に乗った訳ですがその結果として暗く冷たい海に引きずり込まれる形で人生を終えました。海の中で彼等は自らの選択を悔やんでいたのでしょうか、それとも自分のせいだと最期に割りきったのでしょうか……。
48 甲板員 ネイサン・ピーターズ
兄弟で船に乗っていた弟の方です。名前の由来として、アンチャーテッドというゲームシリーズに登場する兄弟の名前ではないか、というのを見ましたが作者のルーカスポープさんもこのゲームの開発元に所属していたのでその可能性が高そうです。
7章のシーンでブースに″boys″呼びをされていた点やお兄さんがいる点、本編中での行動を見るに甲板員の中では若かった方なのかな、と推測されます。
後述のリンデを殴り殺したイメージが強く、お兄さんがリンデのせいで死んでしまったと思っているのはわかるけどいくらなんでもやりすぎではないか、と思っていましたがオブラディンをやったフォロワーさんからのネイサンに対する感想や本編での様子を見て印象が変わりました。仕事をしているシーンでは大変熱心に仕事をしている一方で、6章のカニライダーが現れてからは親方に警告し、負傷したその親方を介抱し戦い、最後には親方と相討ちになった怪物に槍を刺しそれが職務上の秀でた功績に繋がっています。残念ながら正解では殺人がついているために損害査定に記載はありませんが、職務上の秀でた功績はついています。乗組員及び船の放棄と殺人で罰金額が35ポンドになりますが、25ポンドになっているのがその証拠です。
この部分を見れば英雄ですし、この物語の主人公であったと言ってもおかしくない活躍ぶりです。これがReturn of the Obra Dinnでさえなければ……。
殺人に関してですが理由が何であろうと自らの意思で殺意を持って人を殺した事実は動きません。ですが、自分の兄を殺したと思っている人間がここまでで謝る素振りがなく(リンデの発言からするとこれ以前にネイサンに謝っていたようにも見えません)、ハンモックが隣で嫌でも顔を合わせてしまう環境で、かつ自分が一生懸命に戦っていた頃当のリンデは全く姿を見せず、という状況で俺も脱出させろとやってきたのであれば、「我慢ならない」と感じて切れたとしてもある程度の情状酌量の余地はあるでしょう。6章その3でもリンデに対して「どけ」と言ってたので、この時点から既に7章その1になる布石が見えます。仲間であるブースが「俺は見てた、こいつのせいじゃない」と言っても冷静になれなかった辺り、相当リンデに対しての怒りが溜まっていたようです。
その後ネイサンの乗った脱出ボートがクラーケンによってひっくり返され同乗者の2人ごと海に投げ出されてしまったのは、リンデを殺した報いだったのでしょうか。もしリンデを殺していなければ、クラーケンの出現をうまく抜けられてネイサンが生存できた未来もあるかもしれない、と考えるとこれもReturn of the Obra Dinnであるが故の悲劇だったのかもしれません。人を殺してはしまいましたが向こうでお兄さんに会えているといいな、と思います。
49 甲板員 ラーズ・リンデ
デンマーク野郎です。英語の台詞では″Bloody Dane″、忌々しいとか残忍なともついていて、より直接的にはっきりとネイサンの恨みが伝わってきます。
1章のシーンを見ると荷物を下ろす為に指示を出したリンデが荷物が落ちそうなことに気付き止めるも、という状況だったので不幸な事故と言えば事故ですが荷物を下ろす指示を出したのはリンデだったのでリンデが殺したような物だとネイサンが考えてしまっても無理はないでしょう。また彼は6章でも怪物を見て「悪魔だ!」と叫んだ以降は皆で戦っていた場面にもいませんでした。この2つを見ると冷たいとも見えるのですが、彼の出身であるデンマークは個人の自由を重視する個人主義の傾向が強いとあったので自分の考えるままに、あれは不幸な事故なので仕方がなかった、悪魔が現れたのだから生きるために安全を確保しよう、と行動した結果であるのかもしれません。
また、リンデが6章その3以降で出ていないのは、彼が3章にて反乱を止めようとして失敗してしまったという事があり尚更余計な事をしないで自分の身を守ろうとしたのかなともとれます。3章での反乱を止めた際に頭を打っているようなので、このダメージも残っている所にネイサンに頭を殴られたのが致命傷になって亡くなってしまったのでしょうか。
双方の立場と考え方の違いでリンデは殺されネイサン達も脱出できず(リンデと揉めていなければもしかしたらクラーケンから逃げられた可能性はあります)と最悪の事態となってしまいましたが、どこかでリンデが「事故であったと思っているけれども、責任は俺にある、すまなかった」というように謝っていればこのような事は起きなかったかもしれません。唯一の北欧出身の船員で船の中では孤立しがちだったかもしれませんが、向こうでは皆と仲良くなっていて欲しいですね。
50 甲板員 ジョン・ネープルズ
この方が亡くなった経緯に関して少々わかりづらい所があったのですが、5章その4のシーンでダールが人魚を殺そうとしたのではという考察を見て、ダールが人魚を殺そうとした所に人魚を庇ったかあるいはダールに狙われたかでああなったのだとわかりました。ネープルズ
に対して「職務上の秀でた功績」もついていますし、恐らく前者の線であると考えられます。結果的にはダールの判断が正しかったこともあってか、何でダールに罰金が出てこの人が止めなければ船が救われたかもしれないのにこの人に報償金が?と思われた人も多いのではないでしょうか。ただ客観視点というか調査員視点ではダールが物を傷つけようとして船長の命令を無視した人間に対して、ネープルズは荷物を守ろうとして命を失った人になるので、ここから保険調査員はあくまでも感情の入らない立場であるというのがわかります。事実はひとつだけれども、その事実をどう受け取るかは貴方次第、というこのゲームの面白さを改めて考えさせられました。
危険を省みずに荷物を守ったとかの所を見るに、仕事熱心で船長にも信頼されていたのでしょうか。ネープルズが亡くなった事で船長が尚更頑なになってしまったのかもしれません。
前の話と矛盾する所もあるかもしれませんが、彼が止めなければ6章以降の犠牲は無かった可能性はあります。しかし彼はそもそも運んでいる物が危ない物であるのも知らなかったので船員としては船長の言う通りにしてその為にやるべき事をやるしかなかったのでは、とも思います。その意味で、彼も運命に翻弄されてしまったのかもしれません。
オブラディン号の乗員乗客について語ってみました Part9 (9of12) 41~45
この記事にはReturn of the Obra Dinnのとても重大なネタバレが含まれます。このページの閲覧は本編をプレイしてクリアしてからを推奨します。
動画で見て知っているという方もいらっしゃるでしょうが、動画で見るのとまた違ってくるので是非本編をやってみてください。
オブラディン号の乗客乗員を語ってみました、第9回目です。
何人かは既に書いていたりするのですが、全員を書いて見たのは初めてです。プレイして数ヶ月思ったことを残しておきたくなったためです。
あくまでも私の独断と偏見によるものです。考察内容諸々に関しましては、他の考察を見て納得した物を取り入れそこに更に自分なりに解釈した物を入れたという、ぶっちゃければパクりと取られそうな面もあるのでご了承ください。
勿論、ネタバレが含まれるので繰り返しますがここから先は本編をクリアしてからの閲覧を強く推奨します。
クッションを置きました。ここから先にネタバレが含まれていますので、ご了承ください。
ここからが本編です。長いので何編かに別れていますし、あまりにも長くなりそうなので立ち位置ごとに分けてみました。
かなり長くなりますが読んでいただければ幸いです。
今回は檣楼員の後編です。本編の中でも書かれているように、マストの上に乗る位の高い船員です。海洋冒険物によくあるマストの上から「船長!敵です!」と言う人はこの檣楼員で、帆船時代は憧れの花形職だったようです。一方で船の危機の予感を真っ先に見る事も多い上に、高所作業も多いが故の事故の危険性も付きまとい、その度に恐怖を抱いていれば仕事にもならず、恐怖心を捨て勇気を振り絞って日々の仕事をしていたのが見えてきます。並大抵の覚悟がなければ出来ない仕事です。
そこを考えれば、檣楼員達は自分達の檣楼員としての誇りの元で仕事に向き合い戦いそして亡くなったのだと言うのが見えてきます。
41 檣楼員 リー・ウェイ
中国人檣楼員達はひとつにまとめたかったのですが、人数や番号の割り振り等でリーだけは別になってしまいました。
この方で印象深いシーンは、7章その2で同じ区画にハンモックがあったジョージと食事をしている場面です。リーはこの時点で生きていた唯一の中国人で、同じ国から来た言葉の通じる人間がいなくなってしまったのに思うところはあった筈で、そこを同じ区画で過ごしていたジョージの存在が助けになっていたと想像できます。そうでもなければ、和やかそうに2人で食事を取っていません。反乱や怪物に襲われた後ではありますが生きている訳だしお互い頑張ろうぜなんて話をしていたのかもしれません。
ジョージの死亡シーンにはいませんが、その後にジョージが亡くなった事は勿論他の人から聞いた筈です。その為なのか、7章その7で火薬を持ってクラーケンと戦っていました。ジョージの件もあり、同じ場面で同じ檣楼員のマバも捕まっていたので、直前で火薬による死亡者が出ていても覚悟を決めて、ジョージの仇を取ろうとしたのでしょう。残念ながら結果的にはジョージの後を負う形となってしまいました。天国で「おまえさんの仇を取れなかった、すまねえ……」とジョージに謝りながら、ジョージは「いや、あんたはよく頑張った、それより最後の晩餐の続きでもしようや」とかと話している姿が浮かんできます。
42 檣楼員 ニコラス・ボッテリル
スケッチでは恰幅の良さそうな感じに描かれている檣楼員です。とはいえ、実はこの人に太ったモデルは使われていない(作者の話では、当時の船員で太った人は殆どいなかったという所から用意していた太ったモデルは甲板長のみに使われることになったそうです)ので、スケッチが割と太めに描きがちだったのかもしれません。
彼に関しては若者説とそうではないのでは?という話がありますが、この船の檣楼員の中では経験の浅い方ではないかという点を考えれば若者説も割と納得できます。と、いうのも蟹の怪物に襲われた場面の直前でロープを上っており、ある程度の経験があればこの辺りで怪物の気配に気づくなり気づいて急いで逃げるなり出来たかもと思っているので。一瞬のことで対応できなかった、とかもあるかもしれませんが。
あともうひとつが、甲板員のネイサンが後のシーンで″ It's already done for Nick!″と彼のことを愛称で呼んでいる点。位の高い檣楼員を甲板員が愛称で呼ぶか、と考えたらもしかしてネイサンと同じかあるいは若かったのでは、と見ています。それにしても、愛称の″Nick″で呼ばれている辺り、仲良かったのかなとか船員の間で愛されていた立場なのかなとも思わせてくれます。
初期設定ではイングランドの島出身(日本で言えば佐渡とか因島とかそんな印象でしょうか)だったそうで、稼ぐために船に乗ってそこから経験を積んで憧れの檣楼員としての仕事をしていた所この件に巻き込まれてしまったと考えると、心に来ます。向こうでもスケッチで一緒にいて仲の良さそうだったルイス達と一緒に船に乗れていますように。
43 檣楼員 マバ
本編では非常に特徴的な刺青を入れた大男であると同時に、ゲームの序盤船を探索していた所に悲鳴と共にクラーケンに体を真っ二つにされプレイヤーに衝撃を与えました。そして、時間を遡り様々な場面を見ていく中で一生懸命に戦い生きていたその姿に涙する……と、このゲームを象徴すると言ってもよいひとりです。国内海外問わず人気がありますが特に海外の人の人気が高い印象です。自分の仕事に生き最後に戦死した生き方を見ていれば、人気の高さも頷けますね。
彼が遠い南太平洋の国からイングランドに来た経緯に関してですが、損害査定書で彼は「相続人の所在不明」となっていた点と、以前のインタビューで作者のルーカスポープさんが船員が世界中から集められた件についての「航海先からついてきたり、誘拐等で」とも語っていたので、かなり嫌な想像になりますがもしかしたら誘拐されたのではないか、とも見ています。彼は体格が結構いいのも、船員にしようとして誘拐された可能性の裏付けになります。
作者のルーカスポープさんは彼に対して「最も悲惨な運命であった」と語っていますが、マバの死はクラーケンに捕まり生きながら胴体切断、というとてもきついものなのでこれが本編だけの話なのかそれとも背景も含めてなのかはわかりません。しかし、その言葉に背景も含めての意味があるのであれば誘拐説も現実味のある話となります。
ですが、言葉も通じなければ風習も全く異なるイングランドでマバは自分の仕事をしっかりとこなして、恐ろしいクラーケンと戦ってオブラディン号を守ろうとしていました。生活があるとは言え、ここまでの事があれば逃げる手だってあったでしょう。それでも逃げずに檣楼員としての責任を果たしました。
それがあったのも、もしかしたら後のシーンでマバの上半身を運んでいた隣のベッドだったルイスがいたからなのかもしれません。下半身が無くなってしまったマバの遺体を嵐の中で必死に運ぶルイスに、マバとの関係の深さを見ました。2人の見た目から考えるに、イングランドに来たマバに対してルイスが色々と面倒を見ていたのかと想像できます。仕事も教わったりして、ようやくお前も一人前になれて嬉しいよとか会話しながら、日々を過ごしていたんだろうなと思うと心に来る物があります。
勇敢な戦士だったマバが、天国では穏やかに暮らす事が出来ていますように。
44 檣楼員 ルイス・ウォーカー
序盤から登場していたが故に多くの人の記憶に残り、それでいてなかなか名前が出てこなかったので「いや、あなたの名前は?」と多くの人から突っ込まれていた人です。とは言え、実は彼のハンモックは1807年のオブラディン号に残されているのでその点がわかれば早くから目星がつけられます。残されたハンモックで寝ながら、何を考えていたのでしょうか……。
檣楼員最後の生き残りであり、最後にホスカットと共に船長の元へ向かい船長に殺されていますが、この行動に至った理由が時系列を遡っていくとどんどん明らかになっていきます。
中でも、その決定打となったのが7章のマバの死ではないかと見ています。ルイスとマバはハンモックが隣同士で、もしかしたら仕事を教えるのも含めてマバの面倒を見ていたのかもしれないとマバの所で触れましたが檣楼員仲間の中でも特に関係が深かったと思われるマバがああなってしまえば、ルイスも船長に従うよりは、となるでしょう。ましてや、仲間の船員がこの時点で殆ど無くなっているので尚更です。
7章その8でのルイスがマバの遺体を持っていってどうしようとしたのかは憶測にはなりますが、仲間の遺体が嵐で海の中に放り出されてしまうよりはちゃんと葬ってあげようとしたのではないのか、と見ています。嵐の中でかつまだクラーケンの姿もあったので自分を守る為精一杯な所もあったでしょうに、それよりも大事な仲間、いえもしかしたらそれ以上のものがあったかもしれない立場だったマバの事を最後まで思っていたのがあの行動だとしたら、あの時のルイスの心情は想像を絶する物があったでしょう。
船上の宴のスケッチで、ルイスの近くにいたティモシー、オミッド、ニコラス、そしてマバ。この4人は仲が良かったのではないかと推測されます。そして、自分ひとりが残され4人の想いと共に国へ帰ろうとしたのでしょうか。ルイスの元に4人が現れて、「また一緒に船に乗ろうぜ、ルイス」と呼んでスケッチにあったように、船の上で一生懸命に生きた仲間同士でいつまでも過ごしている事を願います。
45 檣楼員 レオニード・ボルコフ
体格のよいロシア人檣楼員です。ロシア人の中で唯一の檣楼員で、船上の宴のスケッチと2章その1でカードゲームをやっていた所を見るとギャンブル好きのイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。ちなみに、2章その1のシーンですがある方の呟きでカードを持つ片方手がテーブルの下にあった事からイカサマをしているのでは、という指摘があり見てみたらやはりそうで、「イカサマするなよ」という台詞から察するに日常的にイカサマをしていたかもしれないのが伺えます。
一方で6章その1にてマストのシーンで掛け声をかけていたり、7章で大砲を動かしていたり槍をクラーケンに命中させていたりと意外と仕事熱心な場面も見られます。
この人と言えばやはり、9章にて脱出を手伝っていたポールを刺し殺し船を乗っ取ろうとしていた場面が印象に残っています。もしエミリーの弾が当たっていなければ、あのまま他に船に乗っていた人々もポールと同じ目に遭っていたでしょう。ポールの殺害も含めて極めて自己中心的に見えますが、7章の砲列甲板での惨劇と甲板上での惨劇の両方を目の当たりにしてしまったのであれば自分の生存を真っ先に考えても無理はないです。ギャンブル仲間もいなくなってフラストレーションもあったでしょうし、積もりに積もった物が爆発してしまった結果ああなってしまったと見ています。
6章その1や7章で見せていたような所を最後まで見せる事が出来ていれば、彼自身の運命やオブラディン号の運命もまたいい方に変わっていたのかもしれません。
オブラディン号の乗員乗客について語ってみました Part8 (8of12) 36~40
この記事にはReturn of the Obra Dinnのとても重大なネタバレが含まれます。このページの閲覧は本編をプレイしてクリアしてからを推奨します。
動画で見て知っているという方もいらっしゃるでしょうが、動画で見るのとまた違ってくるので是非本編をやってみてください。
オブラディン号の乗客乗員を語ってみました、第8回目です。
何人かは既に書いていたりするのですが、全員を書いて見たのは初めてです。プレイして数ヶ月思ったことを残しておきたくなったためです。
あくまでも私の独断と偏見によるものです。考察内容諸々に関しましては、他の考察を見て納得した物を取り入れそこに更に自分なりに解釈した物を入れたという、ぶっちゃければパクりと取られそうな面もあるのでご了承ください。
勿論、ネタバレが含まれるので繰り返しますがここから先は本編をクリアしてからの閲覧を強く推奨します。
クッションを置きました。ここから先にネタバレが含まれていますので、ご了承ください。
ここからが本編です。長いので何編かに別れていますし、あまりにも長くなりそうなので立ち位置ごとに分けてみました。
かなり長くなりますが読んでいただければ幸いです。
今回取り上げるのは檣楼員の皆様です。人数が多いので檣楼員も前編後編に別れています。
檣楼員は位の高い船員で当時の船乗りの花形だったそうです。ただマストに乗るなどの高所作業があるということで勿論危険も多く故に給与も他の船員より高く、それも本編の損害査定書で書かれています。並外れた覚悟と勇気が必要で、簡単には出来ない仕事であったからこその誇りがあったのだろうと想像できます。
それを考えれば檣楼員の人たちが船の危機に戦ったのも納得できます。
36 檣楼員 オミッド・グール
上半裸とターバンと独特な形状の剣が特徴の人です。剣は身元判明のため大きな手がかりになっています。休んでいる時もベッドのそばにあったという事は相当大切にしていた筈です。
ターバンを被っているということでインド人ではないのかと思われそうですが、ターバンはイスラム教やシーク教の人が被る物でインドの多くの人はヒンドゥー教であるため彼がインド人ではなく唯一のイスラム圏であるペルシャ出身では、と推測できます。この辺りは実際の知識からも身元を推測することも出来る、オブラディンではよくある話です。そうでなくても先の剣とハンモック番号でも推測できるので、推理ゲームとしてはなかなかよくできてると言えます。
この方の本編での行動を見ると、戦っているか仕事をしているかでよく働いている印象なのですが彼の出身がペルシャであるのを考えると、宗教的な背景や文化の違いがあるにも関わらずオブラディン号のために戦っていたのは仕事の為もあるでしょうがそれだけではない何かが彼の出ていたシーンから伝わってきます。
そんな彼の数少ない休息のシーンが船上の宴での場面なのですが、イスラム教は飲酒が出来ないためこのような場面でもお酒を飲まずに過ごしていたのだろうなと想像できます。飲酒が楽しみだったと言われる船の上で酒を飲めなかったとなると、かなり想像を絶する状況なのが推測でき、その意味でも彼の人間性が見えてきます。
同じ国どころか同じ文化圏の人すらもいなかった船の上で、船上の宴で近くにいてルイス達が仲間になっていた
イスラム教では天国では自由に飲酒が出来る、とあるので、天国で仕事仲間と一緒にお酒を飲んで何の不安もなく過ごしていますように。
37 檣楼員 ティモシー・ブーテメント
スキンヘッドに刺青で体も大きめで更にいかつい、いかにも船乗りらしい感じの人です。出番はハンモックで寝ているシーンと死亡シーンの2つのみでありながら、ニコルズの反乱を見て見ぬふりをせずに止めていたのを見ると正義感の強い人だったのだなと言うのが伺えます。ここで亡くなっていなかったらその正義感を発揮して怪物達に立ち向かってもしかしたらもう少し生存者はいたのではないか、とも考えさせられます。
また写真のないこの時代に家族の絵を飾っていたように、おそらく奥さんや恋人であっただろう(個人的には彼には相続人がいたのを見ると奥さんかなと思います)人物を刺青として入れて長い航海の心の支えとしていたと同時に、自分に万一の事があった場合に刺青まで入れる程の愛する人の所へ自分の死を伝えられるようにとしていたのかと考えると、最期が船員として反乱を止めようとしたために亡くなった事と、大事な人の所に遺体が帰らなかった事が悲しく思えます。頑張った人がその戦いぶりに報われない死を迎えてしまうのがこの作品であるとは言えども、言えどももう少し何とかならなかったのでしょうか……。
ニコルズの反乱の現場に居合わせ、それをはっきりと止めていたティモシーですが、どうやって他の2人と合流して反乱を止めようとしたのでしょうか。ゲームの目的とは関わらない枝葉の部分ではあるのですが、とても気になります。檣楼員と士官候補生と甲板員とあまり関わりのなさそうな3人なので、3人の誰かが異変に気づいて同じく気がついた同士で合流したという風になるのかと見ています。
勇気のある正義感の強い海の男だったティモシーが刺青にしていた愛する人と天国でまた会えていますように、と願ってやみません。
38 檣楼員 リ・ハン
多くの人にとって身元判明の大きな壁となった、スキンヘッドの中国人檣楼員達の一人です。私は靴に違いがあるというヒントを見てようやく見分けられました……。
中国人檣楼員について、これは私個人の推測というか憶測なのですが彼らがハンモックの場所が同じ区画で5章6章で仕事を一緒にやっていた以外の行動がばらばらに見える点、船員同士の交友の場と見られる船上の宴にいたのがジャンひとりだった点、中国人の反乱者がホンのみだった点(ある程度交友があれば他に中国人を反乱に引き入れてるでしょう)から中国人檣楼員はひとりの航海士の航海についていって仕事をする航海士付きの船員だったのかなと見ています。見習い航海士的な位置と思われる四等は除いて船員番号順にリが船長付きで、ジャンが一等付き、ホンが二等付き、リーが三等付きだったのかなと想像しています。リとホンとリーは通訳のような事をしていたのも何となくそれっぽく思えてきます。wikiを見たら5章で船長の横でタンとの会話を通訳していたのもリだったのがわかり、個人的には尚更その説で見てしまいます。
彼の死に方は雷に打たれた事で、本編ではこれを越える物がこの後も沢山出てくる為まだましな方にも見えるのですが、考えれば雷に打たれるというのもかなり恐ろしい物です。雷が出てくるというのは天気が荒れるのが見えていた訳でそれでもマストの上に乗っていつものように仕事をしていたのは、仕事とは言えなかなか出来ることではないです。雷に打たれるとかが頭をよぎらなかったわけはなく、それを考えると檣楼員が位の高い船員と扱われるのもわかりますし、彼の死に「職務上の秀でた実績」が付くのも納得です。
中国人檣楼員達はスキンヘッドの中国人船員とまとめられがちですが、それぞれのたどった運命は全く違っているのが興味深いです。私は4人の行動はばらばらだったと書きましたが、もしかしたら描かれていなかった場面で中国人同士が仲良くやっていたのかもしれませんね。
39 檣楼員 ジャン・ジエ
中国人檣楼員の一人です。彼は船上裁判にはいなかった一方で船上の宴の場面に描かれており、ここでは中国人船員と同じ区画で寝ていたジョージ、黒人船員のハマドゥとブースと共に酒を飲んでいます。ただ酒を飲んでいるだけではなく、床に四角いサイコロのようなものが見えることから憶測ですが賭け事をやっていたのだと思われます。後ろでもカードのギャンブルに講じている一団がいますし、船の上での楽しみのひとつが酒とギャンブルだったのだというのがここから見えてきます。このスケッチに士官クラスの船員の姿がいないのも当然であると同時に、この船上の宴の場面は船員達にとってのハレの場だったのだなと改めて思いました。
話をジャンの事に戻しますが、彼は蟹ライダーとの戦闘でウォレスと共に死亡します。オファレルの早く燃やせ、の発言の後で首を切られているのですが、そこに「著しく勇敢な行動」と査定されているので蟹ライダーに果敢に戦いを挑みその結果亡くなってしまったのではないかと読み取る事ができます。最後まで蟹の爪を剥がそうと足に手を伸ばしていたのが、死亡直前の苦しそうなうめき声と合わせて痛々しいです。
この場面ジャンの方を見てはいませんが一等航海士もいたのを見ると先に書いた航海士について航海する檣楼員だったのでは説が私の中で尚更強くなります。
見たことのない恐ろしい怪物に戦いを挑み船を守ろうとした姿はまさに誇り高き檣楼員のそれでした。向こうでは船上の宴にあるスケッチのように仲間とワイワイやっていればいいな、そんな風に思っています。
40 檣楼員 ホン・リ
中国人船員の一人で、彼はその中で唯一ニコルズの企てた反乱に乗っています。先に書きましたが、他の中国人に反乱参加を呼び掛けたり、中国人の仲間がいるから反乱には乗らないとかがありそうなのになかったのは、中国人同士は同じ国出身でも仕事以外の場面で繋がりがなかったのでは、と推測している点のひとつになります。
もしくは他の中国人よりもニコルズとの繋がりの方が強かったのではとも考えられます。自白をしなさそうなホクセンが殺人の罪を着せられてしまった理由にホクセンの証言で嘘の翻訳を行ったから、と通説で言われており、そうなるとホンがホクセンの証言をでっち上げた可能性が高くなり、ホンがその行動を取ったのも以前から航海士のニコルズについて航海していたと考えられます。オブラディン号でホンに出会い、そこで引き込んだとすれば位の高い憧れの仕事である檣楼員を捨てて反乱に加わった事になりますが、オブラディン号の檣楼員を見ているとそれぞれ立場の違いはあれど皆仕事に誇りを持ってやっているように見えるので、反乱の話を持ちかけられても簡単に乗らないでしょう。故に以前からニコルズと協力関係にあった立場なのではと見ています。
反乱はうまく行きフォルモサ人とチェストは手に入れましたが、海の上で人魚に見つかり人魚の投げた槍で死亡し、その遺体はニコルズにより海に投げ捨てられます。
いつまでも遺体を積んで航海できないしましてや得体も知れない怪物に襲われているとはいえ、協力者の遺体をあっさり捨てすぎにも思えます。反乱に協力していなければ、ニコルズに出会っていなければホンもまた違った人生を歩んでいたのかもしれません。
それを考えれば、ホンに限らず他の反乱者もある意味ニコルズの被害者とも言えます。ニコルズは本当に色々な人の人生を狂わせた物です。
オブラディン号の乗員乗客について語ってみました Part7 (7of12) 33~35
この記事にはReturn of the Obra Dinnのとても重大なネタバレが含まれます。このページの閲覧は本編をプレイしてクリアしてからを推奨します。
動画で見て知っているという方もいらっしゃるでしょうが、動画で見るのとまた違ってくるので是非本編をやってみてください。
オブラディン号の乗客乗員を語ってみました、第7回目です。
何人かは既に書いていたりするのですが、全員を書いて見たのは初めてです。プレイして数ヶ月思ったことを残しておきたくなったためです。
あくまでも私の独断と偏見によるものです。考察内容諸々に関しましては、他の考察を見て納得した物を取り入れそこに更に自分なりに解釈した物を入れたという、ぶっちゃければパクりと取られそうな面もあるのでご了承ください。
勿論、ネタバレが含まれるので繰り返しますがここから先は本編をクリアしてからの閲覧を強く推奨します。
クッションを置きました。ここから先にネタバレが含まれていますので、ご了承ください。
ここからが本編です。長いので何編かに別れていますし、あまりにも長くなりそうなので立ち位置ごとに分けてみました。
かなり長くなりますが読んでいただければ幸いです。
今回は本編の中でも特に印象深かった士官候補生の3人についてです。士官候補生は航海士の幹部候補生として乗務していた見習いの船員で、乗務しながら船の動かし方や手旗信号を勉強したり、伝令をやっていたようです。そして見習い船員なので、若く調べたら当時は15歳から22歳までで、更にホーンブロワーの中では「17歳とは遅い、海の男になるには12歳13歳からでないと」ともあったので、更に若かった可能性もあります。それを踏まえた上で本編を見るとかなり心に来ます。
元々は動画配信がこのゲームのきっかけで、配信を見ていた時から印象に残った3人で、何となくでファンアートや二次創作を見つけ更に惹かれてこれはゲームをやらなければと実際にやった結果が今に至るので、今回は語りまくる上に想像とかも多いので、ご理解して読んでいただければ幸いです。
33 士官候補生 ピーター・ミルロイ
3人の中で他の2人が比較的大人しそうな性格に見えるのも相まってか、リーダーだったのではないかと思われています。それに加えて2章その3で吐いてしまった士官候補生仲間のチャールズをからかっていたシーンもあり、なおのことそれっぽく見えます。このシーンで、ちょっと生意気そうな奴だなと感じた人も多いのではないでしょうか。
ちなみにこのシーン、日本語訳では「チャールズは牧場育ちじゃないからな」となっていて英語では″Never been on a farm, Charlie?″で、直訳的には「チャーリー、牧場にいたことない?」になり若干ニュアンスが違います。どちらにしても煽っています。初期の設定ではピーターが田舎出身(海の付近である一方で農場もある街)の一方でチャールズは海沿いの都会なので育ちの違いから仲はいいけどお互い言い合うみたいな所もあって、頭の回るチャールズに言い負かされている分このような言い回しになったのかもしれません。
でも一方で反乱に対して立ち向かったり、蟹ライダーとの戦いで前に出て戦いチャールズが命を賭けて止めた怪物に止めを刺そうとする、その後のシーンですぐに火だるまになってしまった彼に水をかけて助けようとしたりと責任感の強さも感じられる所も見えます。怪物に覆い被さるチャールズを殺してしまうかもしれない、と考えながらもチャーリーは船と自分を守ろうとしたのだからと剣を振るえるのは並大抵の覚悟がないと出来ません。私が彼の立場だったら躊躇って最悪の結果になったでしょう。
しかし、その後で彼を襲った運命も過酷なものでした。オブラディンの本編では全ての人物が悲劇的な目に遭っていますが、反乱を止められずに船員が一人死亡し反乱者を取り逃がす、仲間が目の前で亡くなりそれを助けられなかった、船を守るためにクラーケンと戦うも捕まってしまい仲間の言葉を聞き動くも爆発に巻き込まれて命を落とす、というピーターの状況はかなり重いです。船長を夢見て奮闘していた若い青年がこんな目に遭うなんて……と言いたくなります。
話しは前後しますが3章の反乱を止めに行くも、というシーンは士官候補生と檣楼員1人と甲板員1人で夜の見張りは考えにくいので(士官候補生がいるなら航海士が誰かはいるはずですし、ニコルズだったとしても多分休むように言って戻らせそう)、恐らくですが様子がおかしいのを見かけて止めに行ったという状況だと見ていて、もしかしたら先に気づいたのはチャールズ辺りでピーターがふたりに「俺が行くから2人は何かあった時のために部屋で待ってろ」とか言ったのかもしれません。それがああなってしまうとは……。
また6章のその7でピーターは2匹目の怪物を追わず、それを見ているだけでピーターの性格を考えれば追いそうな物なのに、と思っていましたがフォロワーさんのそのシーンで呆然としていたのでは、という考察を見て追わなかったんじゃなくて追えなかったんだと気付き、仲間を救えなかったと同時に仲間を自分が殺してしまったという事がとても心に重くのし掛かっていたのだと強く感じました。トーマスがピーターを救えなかったのを悔いていたのと同じように、ピーターもチャールズを救えなかったことを悔いていたでしょう。だからこそ危険を承知で火薬を持ってクラーケンと戦う道を選びそれでああなっってしまったのかと考えると、胸が痛くなります。
トーマスが遺言として「ピーターのお母さんに伝えて……」と言っていた点から遺言の相手が奥さんや恋人でなく母親だったところから若かったのが伺える、と考察コメントにありましたがそれだけでなく、このような状況で母親が出てくるということは恐らく母親の事を他の2人によく話していたお母さん子だったのかなというのが想像できますし、そこまでのお母さん子であったピーターが母親の肖像画を持ち込んでいてそれが士官候補生の部屋の一番上のベッドにあった額縁だったのかとも思っています。片親説もありましたし、私も家族でなく母親の事を言っていたのはもしかしたら父親とは死別したのではと見てて、もしそうなのだとすれば、いえそうではなくても正解のひとつとしてある「チャールズはピーターに剣で殺された」で罰金を請求されたあとを考えると憂鬱になります……。大切に育てた自慢の息子が若くして遭難して死んだだけでなく殺人を犯した、なんてお母さんの悲しみは相当の物でしょう。しかもその殺人と認定された行為が友達を助けようとした事でのそれなのでなおさらやるせない気持ちになります。あるところで見たファンアートで、チャーリーが亡くなったシーンのピーターが「トム、俺は彼を殺したのか……?」と救いを求めるかのように言っていたのが、今でも思い出すと切なくなります。2章のどこか生意気な感じもあり仲間と和気あいあいとしていたシーンがまるで嘘のようで、それもまた……。
最期のシーンでは字幕にはなっていないですが、ピーターの″Need your hands!"という台詞が聞こえ、最期まで″Help″ではなくて「手を貸してくれたら自分で何とかするから」と言っているように思えてしまって、責任感が強かったんだろうな、と改めて思います。
生意気そうなだけではなく、正義感も責任感も強くかったからこそ、チャールズもピーターを守ろうとし(ここは後述する憶測の部分もありますが)、トーマスの最期の言葉もピーターに関わる物だったのでしょう。3人の素晴らしい関係性が伺えて、本当に3人に幸せになって欲しい、と心から願います。
天国で自分を責め続けているかもしれないピーターがふたりと出会えて、また3人で昔のように和気あいあいとしていますように。
34 士官候補生 トーマス・ランケ
2章のシーンからもどこか大人しく優しい印象の士官候補生です。ある有名なゲーム配信者も彼の顔を見て「優しそうな顔をしてるなぁ」と言っていましたがそれに全力で同意します。
彼の事を話すときによくトムと言いますが、実は彼がトムと呼ばれている場面は本編ではありません。ピーターをピート、チャールズをチャーリーと呼んでいる場面があったので流れで彼もニックネームとなったのでしょう。一応トミーもトーマスの愛称としてあるのですが、不思議な事にトム呼びなのはトミーというよりトムという雰囲気の方が近いからなのかも知れません。
そんな彼の優しさが出てくるシーンは多くありますが、印象深いのはやはり最期のシーン、仲間のピーターの母親への遺言を最後の力を振り絞って伝えたシーンでしょう。追いかけられる恐怖を味わい背中を複数回刺されおびただしい出血の中向かったのは亡き仲間と一緒に過ごした部屋で、仲間のお母さんそして仲間へのお詫びの言葉を遺言として伝える。この状況だと自分の事が先に出てきそうな物なのに、出たのは仲間に関しての話であったというのが優しい性格だったのだなと思わせてくれます。そして、あれだけ刺されて苦しい思いをしながらも士官候補生の部屋まで行けた辺り、彼の本人でも気づいていないかもしれない強さを感じました。僕は強くないよ、と言いそうですが貴方も強いと伝えたいです。仲間を失って発狂も自暴自棄にもならず涙を拭き自分の仕事に向かえた人が弱いわけないじゃないですか……。
初見は章のタイトルも相まって、"Don't leave me...″が自分を船に置いていかないで欲しい、と言っているように思えますがある程度やり込むとこの言葉が、自分よりも先に亡くなった仲間2人に置いてかないで、と言っているように思えてくるのが不思議です。あるフォロワーさんがこのシーン、笑いながら自分の部屋に戻るピーターとチャールズが見えてそれを追うように、だったのではないかと話していて、その状況が想像できます。
他にも、ピーターが亡くなる前にもクラーケンに捕まりパニックになるピーターに彼を励ます言葉を「火薬を投げろ」の前にかけています。英語の台詞の"Hold on! Hold on!"も持ちこたえるとか励ますの意味があるので。だからこそピーターの死を目の前で見た時のショックは大きかったでしょう。チャールズも亡くなってしまっているのでなおのことで。
チャールズの時も見ていただけでは、と思われるかもですがチャールズが燃える前のシーンではね飛ばされて腰を打っており、その後のシーンでも腰を気にして支えに手を置いていて本人は戦いたかったけれどもそれが出来なかったのではと見ています。そのような状況があったからこそ同じような状況になってしまったピーターを助けたかった気持ちは強かったのではないでしょうか。
これは想像ですが、ピーターが火薬を持ってクラーケンに向かうと聞いた時、死ぬかもとは思ったでしょうが自分がうまくやればピーターは助かってクラーケンも倒せる、だから自分が全力でピーターを支えると思ってて、それで甲板上に向かったのかもしれません。ピーターもトーマスに背中を預けてて。その上で戦いに行って、その結果がああだったとすれば、言葉が出ません……。
遺言の″I... I tried my best″からもトーマスの無念さが伝わって来るのがまた。トーマスもベストは尽くしたけれどもああなってしまった。誰も悪くはないのですが、それを自分が悪かったと悔いるトーマスの優しさが見えます。話はずれますがこの台詞、高校野球やサッカーの松本山雅や大分トリニータの応援で使われている有名な曲BRAHMANのSEE OFFにあった「最善は尽くしたと後世に告げる最悪の時(意訳)」を思い出しました。
一見すれば無謀にも見える9章での反乱の提案を偶然耳にしてしまった時にそれを止めようと大声で反乱を知らせたのも、このような背景がありそれに加えピーターが反乱を止めようとしていてそれに失敗してしまったので、なおのこと理屈よりも先に体が動いてしまったのでしょう。反乱の話を聞いた瞬間、勇気を奮って亡くなった友であり仲間の姿が浮かんできたのかもしれません。これがReturn of the Obra Dinnでさえなければ……。
よくここでトーマスが反乱の話を言わないで生存しているもしもを考える事がありますが、その辺を踏まえますとトーマスの中に反乱を見て見ぬふりをするという選択は確実に無いと言えます。
当該のシーンの前もトーマスが下の階から上がっているので、もしかしたら優しい彼の事チャールズの亡くなった所まで行ってピーターの事と、向こうでピーターをよろしくねと告げていたのではないかなとも考え涙が出そうになります。
生前の彼はきっと、何かと言い合う場面のあった仲間2人をなだめたりあるいはその優しさにふたりが救われたりした場面もあったそんな関係だったのでしょうか。こんな事件に巻き込まれないままで3人で切磋琢磨しあい、航海士になってそれこそ船長と一等航海士のようになる関係の3人が見たいです。
35 士官候補生 チャールズ・ハーシュティク
出番は士官候補生の中では一番少ない上に台詞もありませんが、その分目立つ行動を取っているので印象に残っている人です。
ピーターの項でも触れましたが、彼は牧場に行ったことがない育ちらしくそれで牛を殺す場面を見て吐いてしまいピーターにからかわれますが、わかってはいても屠殺で気分が悪くなってしまうのも無理はないでしょう。
とはいえ、牧場育ちじゃないからとか言っていてもピーターは責任感があって、トーマスは優しいので結局3人でチャールズの吐いた所を綺麗にしたり、若干汚れた靴を洗ってあげたりした一コマもありそうです。
こちらもピーターの所で書いていますが、吐いた時のピーターの言い回しからするとピーターとは育ちの違いで仲間ではあるけど言い合うことが多そうな印象を受けました。
彼は恐らく3人の中ではもっとも頭が回るタイプだったのではないでしょうか。というのも、オファレルさんが怪物が出てきた時に「早く燃やせ!」と告げて咄嗟にランタンを投げて燃やそうとするのは頭の回転が早くないと出来ません。
そして、同時に3人の中で最も勇気があったのが彼だったとも思います。もちろん士官候補生の3人は勇気のある3人です。ただ、その中で燃え盛る怪物に覆い被さり火だるまになって怪物を止めるというのは並外れた勇気ではないでしょうか。少なくとも私には無理です。
この場面は船を守るために自ら燃える怪物に向かって行ったというのもあるかもしれませんが、ある方の創作で燃えている怪物がピーターを狙いそれを止めるためだったという描写がありそれに納得していた所、別の考察で怪物がピーターに向かっていたのでは?というのを見て自分でも確認したら確かにそんな風にも見えました。牧場育ちじゃないからな、とか言われた相手であったとしても仲間だからで自ら燃える怪物を押さえて止めようとするのは、なかなか出来る事ではありません。怪物を足留めしよう、そう決めた時点でチャールズは死ぬつもりだったのでしょう。頭がいいが故に未練も切り捨てて船と仲間を守ろうとしたその精神に、ゲームをプレイしたすべての人が惹かれたと行っても過言ではありません。あああああああああ、の焼かれる痛みは想像を絶する物があります。
牛を殺すシーンで吐いていた彼が最期にはとても強い勇気を見せた、それだけでひとつの物語です。台詞はないし出ている場面もたったの4つですが、チャールズ・ハーシュティクを語るには十分すぎます。
自分は叶えられなかった航海士の夢を仲間ふたりには叶えて欲しい。そんな気持ちでこの世を去ったであろう彼がふたりが早くこちらに来てしまったのを知った時は悲しみにくれるでしょうが、それ以上に苦しみを抱えているであろうふたりのそばにいて気が済むまで話を聞いて、涙を拭いてくれるだろうなと思っています。
生まれ変わっても3人で一緒に話をしたり和気あいあいとしたり、一緒に夢を追い続けて欲しいです。そして何よりも、何よりも幸せになって欲しい……。まだ遊びたい盛りで大人として船に乗り、叶えたい夢もあったのに純粋に船を守ったり仲間のために戦って壮絶な最期となってしまった彼らだからこそ尚更です。
士官候補生トリオ幸せになって、それが今の私に言えることです。