青への旅路

様々な事を語ったり、ちょっとした旅をしていた記録を残したいと考えて作ったブログです

オブラディン号の乗員乗客について語ってみました Part6 (6of12) 27~32

この記事にはReturn of the Obra Dinnのとても重大なネタバレが含まれます。このページの閲覧は本編をプレイしてクリアしてからを推奨します。

動画で見て知っているという方もいらっしゃるでしょうが、動画で見るのとまた違ってくるので是非本編をやってみてください。

 

 

 

 

 

 

オブラディン号の乗客乗員を語ってみました、第6回目です。

 

何人かは既に書いていたりするのですが、全員を書いて見たのは初めてです。プレイして数ヶ月思ったことを残しておきたくなったためです。

 

あくまでも私の独断と偏見によるものです。考察内容諸々に関しましては、他の考察を見て納得した物を取り入れそこに更に自分なりに解釈した物を入れたという、ぶっちゃければパクりと取られそうな面もあるのでご了承ください。

 

勿論、ネタバレが含まれるので繰り返しますがここから先は本編をクリアしてからの閲覧を強く推奨します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クッションを置きました。ここから先にネタバレが含まれていますので、ご了承ください。

 

 

ここからが本編です。長いので何編かに別れていますし、あまりにも長くなりそうなので立ち位置ごとに分けてみました。

かなり長いです。特に今回は役職の絡みで6人を一気に紹介しているので今まで以上に長くなりますが読んでいただければ幸いです。

 

今回はひとりの主人の身の回りの世話をするものとして間接的に船の運航に関わり、主人の運命に翻弄されあるいは主人の心に強く焼き付いた司厨手達についてです。

ちなみに、司厨手は6人なのに部屋には3段のベッドで3人しか寝られない状態ですが、船長や航海士が交代で勤務していることを考えると自分のベッドがあったわけではなくベッドを司厨手で共用していたと思われます。

 

 

 

27 司厨手 ズンギ・サーティ

彼は航海士に支える司厨手ではなく、船全体の仕事をこなす司厨手で、その仕事ぶりが5章で出てきています。仕事の場面での台詞がなかったことを見ますと、無口ではありますが仕事をしっかりこなす人の印象です。司厨手の一番上にいた事や船全体の司厨手であるのを考えると、個性豊かな司厨手のリーダー的な位置にいたのではないかと想像できます。ただ、損害査定書を見ると船長付き司厨手の方が未払賃金が高かったので、そちらの方が立場が上だったのかもしれません。

この人に触れた物の中で、インドから渡って来て仕事をこなしてついにこの立場になってこのようなことにあったかと思うと泣ける、というのがありましたが本当にそうです。先のフォルモサ王族に触れた文で言葉がわからないと書きましたがインドからやってきたのであれば言葉の問題もあったのに、それを乗り越えて船の司厨手になれたと考えると、尚更どうしてあんな最期になってしまったのか、と考えてしまいます。怪物のトゲに刺された時点で命は助からなかったでしょうが、それでもオブラディン号の無事や家族の幸せを願う時間くらいは出来ていたかもしれません。そして遺体が残されていたのを考えると、混乱の中で誰にも見つけられなかった事になりそれもまたやるせなくなります。

死因特定の難しさに泣いた後(私も泣きました……初見だとわかりづらいです、あれは)、その不運が重なった運命に泣く、そんな人も多かったのではないでしょうか。

結果としてマイナーの誤射により命を落としてしまいましたが、おそらくですがズンギさんはマイナーを責める事はしないでしょう。むしろ船のために戦ってくれてありがとう、と思っていそう。船を自らの主人とした勤勉な司厨手が、向こうで穏やかに過ごせていますように。

 

 

28 船長付司厨手 フィリップ・ダール

船長と20年以上の付き合いであり、そして彼の行動が多くの考察を生んでいる人物です。彼は船長付司厨手にも関わらず船上裁判の場面にいなかった一方で船上の宴のスケッチにいるのはもしかして最初にアビゲイル達乗客の面倒を見ていたのはダールだったのかもしれません。7章その8や9章からはポールがその役をしているように見えますが、一等付きのポールよりも船長付きのダールの方がそうする方が自然に見えます。ダールがネープルズ殺害で船尾倉庫に閉じ込められポールに役目を交代した、と。現に船上の宴のスケッチでは乗客のそばにいました。

この方の行動は何かと謎が多く、私も初見ではわからなかったりしたので考察を見て納得した所や考察を見ても謎の部分があります。おそらく想像の範囲内でわかることとしては、人魚の危険性にいち早く気付きなんとかしたかったのではということです。彼の出身地のスウェーデンは人魚やクラーケンの伝説がある北欧なので、4章の最後で船に詰まれた人魚の姿を見ていたようで、5章その2で血相を変えて武器を取りに行ったのもわかります。それでネープルズを殺害したのでしょう。

ここでネープルズを攻撃した理由も謎が多く、最初はここの状況で人魚を見て狂った?と思ったのですが、考察で「人魚を殺すか攻撃しようとしてネープルズを殺してしまった」と見てそれか、と納得しました。その証拠に、損害査定書でネープルズに「職務上の秀でた実績」がついており、これが人魚をダールの攻撃から庇った事によるものだと考えられます。

ネープルズの殺害を理由としてダールは船尾倉庫に閉じ込められそこで箱を開けた事によりイトベンと同じ理由で亡くなるのですが、これも初見ではいきなりの行動で、日本語訳だと「なんと……美しい」とあるので人魚が危ないとかで動いてたけど貝殻の誘惑に抗えず貝殻を奪おうとした?と思ったのですが、考察を見るとそうではなさそうで外にいたエバンスが開けるように頼まれたのではとあり、そういう事かと納得しました。エバンスから「その箱を開けて貝殻を取り出せば人魚を鎮める事が出来る」と言われていたのであれば、今までのダールであれば躊躇なく開けるでしょう。そしてここで貝殻が外に出た事で、後で倉庫に来たマーティンが人魚に貝殻を返してクラーケンは去っていったとなります。するとマーティンにアシストしたのがダールとなりますね。その意味でも重要人物と見てよいかもしれません。

船上の宴のスケッチでは楽しそうに踊っていて、おそらくはこちらが本来のダールであったのでしょう。しかし、人魚の危険性を知っていたが為にそれを回避しようと必死に動き、それは報われる事のない運命となってしまいました。

この乗客乗員語りでダールの事を考えた結果、彼の印象がまた変わりました。船長とは20年近い付き合いがあったということは、お互いに相性で呼んでいたりお互い仲がかなりよかった事が想定され、付き合いの最後がこうなってしまったのが悲しいです。向こうで船長と和解できていますように。

 

29 一等航海士付司厨手 ポール・モス

見た目としては司厨手というより用心棒にも見えますが、この方も黙って仕事をこなす系の人だったように思えます。でもこの印象で周りを笑わせる事を言うような面白い人であってもギャップがあって良いと思います。

また、この強面で妖精のイメージの強いウェールズ出身です。これで実は妖精を信じてるとか、お伽噺が好きだとかでもあるのかもしれません。

7章最後や9章の様子を見ると乗客のそばにおり、乗客の面倒を見ていたのが伺えます。またポールの最期でもエミリーさんが「ポール!」と叫んでいた辺り親しかったのかなとも思います。先にダールが面倒を見ていたのではと書いておいてあれですが、船上の業務と船長と一等航海士の関係を考えるとポールとダールで交代しながらその仕事をしていたのかな、とも考えられます。

ポールさんのいた最後のシーンである脱出その2では脱出を阻止しようとしたボルコフに刺されていてシーンとしては刺された場面のみですが、前後には音声があってそこから推測すると、させるかと船に乗り込もうとしたボルコフの前に立ちはだかるようにして止めてその結果ボルコフに刺されたのだと見ています。守るべきだった主人の大事な妹を守れなかったけれども、せめて妹の守りたかった人は助けたくて体が動いたのでしょう。亡くなる寸前にきっと、エミリーさんとジェーン嬢、そして後輩の司厨手の無事を願っていたでしょうし、結果としてポールさんが体を張って守った事で3人は生きのびオブラディン号の話が語り継がれた事になります。それを考えると、ポールさんもまた英雄のひとりです。

司厨手としての職務を全うしたポールさんに敬意を評すと共に、安らかに過ごしている事を願います。

 

30 二等航海士付司厨手 サミュエル・ギャリガン

ニコルズと共に反乱に加わった司厨手です。船上裁判のシーンで耳打ちしているいかにも黒幕の関係者ですよ、と言わんばかりの表情が印象に残った人も多いでしょう。見た目的にも、嫌みな所はあるけれども会社からの覚えはよさそうな有能な人間という風に見えます。

この人が実は黒幕だったという内容の二次創作があり、そういうのもあるのかと思いながら見ていましたが、時代背景とか人物の行動とかを見ているとギャリガン黒幕説は濃厚にも考えられます。

まず一点目は彼の国籍がオブラディン号が出発した数年前にイングランドに併合されているアイルランドのため祖国を取り返そうとしてあの貝殻に目を付けたのが納得できる所です。それを表すかのようにもうひとりのアイルランド船員のオヘーガンが反乱メンバーに加わっており、ニコルズの他にイングランド人船員がいません。外国人の方が味方に付けやすかったという事情もあるかもですが、給料の安さに我慢できなくなったイングランド人もいそうなものです。それがいないならそういう事もあるのかなと。

次は貝殻を奪いに行っているのがギャリガンではなくニコルズである点。ニコルズ主犯ならば今回のような事があるのを踏まえて、リスクを犯さず司厨手であるギャリガンに盗みを任せてもよさそうな物ですが、立場が上のニコルズが行動を起こしているのはギャリガンが指示してニコルズがやったとも取れます。

他にニコルズが主犯であったら自分が反乱を起こした船に生き残る目的があったとは言え戻ろうとはしないだろうと考えましたが、その点は仲間を失って参ってしまったとかも考えられるので根拠としては少し薄くなるかもです。

とはいえ、これはある方が呟いていたのですがギャリガン主犯であったとしてもニコルズにも野望だとかが無ければ事は起こっていなかったと言うのには同意で、ギャリガンだけで反乱は出来なかったでしょう。ニコルズの二等航海士の立場があったからこそ、反乱に手を貸した船員がいたとみています。

と、ここまで書くととんでもない人物だったと推測されるギャリガンですが、彼は最期までニコルズの司厨手であろうとしました。先に降れた二次創作にもあったように、ニコルズが殺人を犯したと知った時に呆れたりしたかもしれませんし、内心ではニコルズを利用してのしあがろうとかとも考えていたかもしれませんが司厨手としての仕事は全うしていました。そうでなければ、撃ってくださいとニコルズには言いません。最も、その時のニコルズは撃つどころか船の中で縮こまっていましたが。ある意味ギャリガンに相応しい最期だったかもしれません。

付き従ったのがニコルズでなければ、彼自身もオブラディン号に関わった人達の運命も違っていたのかもしれません。

 

31 三等航海士司厨手 ロデリック・アンダーソン

ここまでの4人の司厨手と比較して若かったのではと推測される若手の司厨手の2人のうちの1人です。

創作の中では、アンダーソンという名字がデンマークノルウェー系の名字であり見た目も北欧系(後述するデンマーク野郎ことリンデににも見た目が近いですね)な事から、クラーケンの話を知っていたのでは設定が付いている物をよく目にします。

彼についてはこの船の中であった数少ない日常の場面で関係がうかがえる場面にいた事が印象に残っています。後輩の司厨手のデービーと一緒にいる所では先輩らしく面倒を見ていたのかなと思われますし、主人のマーティンと一緒に食事を運んでいたシーンではマーティンと仲が良かったのだというのが伺えます。悲惨な場面ばかりが続くこの作品の中での癒しというかほっとする場面というか(裏では恐ろしいことになってはいますが……)。ちなみにマーティンとロデリックのこの場面を見に行こうと7章その2を見て、ここのハンモックに気がついて推理が大幅に進みました。ありがとうマーティンさんとロデリック。

あとこれは妄想の話ではあるのですが、マーティンの性格を考えるとマーティンとも関わりがあった士官候補生とも同じ年頃の人達で仲良くして欲しいとかでマーティンに紹介されて話をしていた事があったかもしれません。

それだけに、最期があまりにも悲惨でした。7章の犠牲者は他の章に比べると惨い死に方をしていますが、彼のも相当ですし、この場面でのマーティンが必死に手を伸ばし助けようとしていたのがまた……。英語台詞の″Sir,loose cannon !″、助けて欲しかったのか来るなと注意を促したかったのか、最期に出てきた言葉がマーティンを表すSirです。それほどマーティンを慕っていたのでしょう。

マーティンの年齢を考えると、ロデリックが一人前になるのを見届けて船を降りようと考えていたかもと想像でき、そこまで可愛がっていた人が大砲に潰されてというのはマーティンの無念は大きかったでしょう。更に、大砲をどけられないのもわかっていたでしょうし、死んでなおも助けられずこれが宝よりもまずこの船を帰還させたいと考えたトリガーになったのでしょう。船を帰還させられれば、ロデリックの遺体も大砲の下から退けられると考えたとしてもおかしくはないです。

職務上の立場を超えて仲が良かった事が伺えるマーティンとロデリックですからきっと、ロデリックは向こうに来たマーティンを温かく出迎えた事でしょう。「どこまでも御供しますよ、サー。何が食べたいですか?」という声が聞こえるような気がします。

 

32 四等航海士付き司厨手 デービー・ジェームズ

四等航海士と一緒にいた場面が目立つ、四等航海士付き司厨手です。ある方の書かれた文で「四等の部屋にだけ椅子が2つあるのは司厨手も一緒にいたのでは」という内容の物を見かけ部屋を見に行ったら確かに椅子が2つありますね。ずっとテーブルだと思っていました。手前にあるふかふかの椅子をデービーに譲ってふたりで話をしていたのでしょうか。

先輩司厨手から″boy″と呼ばれていた点や最も小さいモデルが使われていた点、そして司厨手は早いと10代前半から仕事をしていた事もあったというのをどこかで見たのを考えますとおそらくこの船の中で最も若かったのでは推測されます。もしかしたら10代前半だったかもしれない10代の中盤くらいな印象を受けます。また船上裁判の場面でも処刑の場面から目を反らし耳をふさいでいたのを見ると、乗船経験も少なくもしかしたらこれが初めての船だったのかもしれません。だとしたら、四等の性格を引いてもデービーのそばにいる場面が多かったのもわかります。

ただ、そんなふたりですがデービーが脱出し四等が殺される9章では一切顔を合わせていない事が推測され、主人の死を知らないまま船から脱出しました。本編ではどこか頼りなさげな感じではありましたが、一生懸命に船をこぎ、陸地に辿り着いたかどこかの船に見つけて貰ったかで命は助かりました。デービーはマーティンによって助かった人魚をポールと共に運んでいたので、それを覚えていた人魚が不思議な力で船を守りデービー達を助けてくれたのかもとも考えています。

船を漕いでいる間も、モロッコに着いてからも主人であるデービーズの生存を信じて再会できる日をデービーは待ち続けていたのではないかと考えると胸に来るものがあります。こっそり手記を見てしまったか何かで、仕事仲間や同じ船の上にいた人達、そして再会を願っていた主人の死を知ってしまったのでしょうか……。

オブラディン号の事は思い出したくないかも知れませんが、きっと四等航海士ジョン・デービーズの存在は彼の今後の人生に大きな影響を与えたでしょうし、彼のようになりたいと心がけながら日々生きていたでしょう。

その後の彼が海とは全く関わらない道を送ったか、あるいは主人の面影を追って海に生きたかはわかりませんが、人生を終えた彼の元にかつての主人が現れて逞しくなったな、と誉めてそれに対してその時に見せていたような笑顔でありがとうございます、サーと言ったのかもしれない、なんて想像もします。