青への旅路

様々な事を語ったり、ちょっとした旅をしていた記録を残したいと考えて作ったブログです

オブラディン号の乗員乗客について語ってみました(Part4 4of12) 18~22)

この記事にはReturn of the Obra Dinnのとても重大なネタバレが含まれます。このページの閲覧は本編をプレイしてクリアしてからを推奨します。

動画で見て知っているという方もいらっしゃるでしょうが、動画で見るのとまた違ってくるので是非本編をやってみてください。

 

 

 

 

 

 

オブラディン号の乗客乗員を語ってみました、第3回目です。

 

何人かは既に書いていたりするのですが、全員を書いて見たのは初めてです。プレイして数ヶ月思ったことを残しておきたくなったためです。

 

あくまでも私の独断と偏見によるものです。考察内容諸々に関しましては、他の考察を見て納得した物を取り入れそこに更に自分なりに解釈した物を入れたという、ぶっちゃければパクりと取られそうな面もあるのでご了承ください。

 

勿論、ネタバレが含まれるので繰り返しますがここから先は本編をクリアしてからの閲覧を強く推奨します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クッションを置きました。ここから先にネタバレが含まれていますので、ご了承ください。

 

 

ここからが本編です。長いので何編かに別れていますし、あまりにも長くなりそうなので立ち位置ごとに分けてみました。

かなり長いですが読んでいただければ幸いです。

 

 

18 画家  エドワード・スプラット

スケッチでは姿が記されていない画家さん。スケッチではイニシャルのみだったので、見つけてもこの人いた……?となってしまった方もいらっしゃるのではないでしょうか。

画家なのに乗客の一番上にいたことに疑問を持たれるかもしれませんが、オブラディン号の当時は写真など存在しないので、何かの記録を残すとなれば勿論スケッチという形になるため当時の画家は記者やジャーナリスト的な立ち位置にあったそうというのを見ました。それを考えれば乗客の中でも最重要な位置にいたのも納得できます。

この方は死に方が何かと話題になり、インパクトもあるので何かとネタにされがちです。詳細は伏せますがあれでは、となる一方で怪物は人間の生理現象など知らないで襲うという点はホラー映画で度々見られる死に方との共通点を感じるのは私だけでしょうか。

その印象に引っ張られてしまいやすいですが、彼のスケッチがなければ調査員の仕事出来なかったと考えますと彼もまた違った形での重要人物であると言えるのではないでしょうか。

気になる事として、エバンス医師が彼のスケッチを持っていましたがこのスケッチ、どうやって手に入れたのでしょうか。脱出の際にこっそり持って行ったとかかもですが、そうなると彼のスケッチがどこにあるかを知っていた事になります。そうでないにしても事前に手に入れていたことが推測されるので、エバンス医師と画家はそれなりに親しかったがうかがえます。

実はエバンス医師は調査員に送った以上のスケッチを持っていて、調査員に送られたスケッチも含めた彼のスケッチが何らかの形で公開されて、オブラディン号に画家として乗船していたエドワード・スプラットの名前とその仕事が知られるようになった……という未来を想像しました。

航海していた時間を考えると調査員に送った3枚以上の絵は描いていた筈で、それが海の中に沈んだかと思うとなんとも言えない気持ちになります。もっと彼らの日々を描いたスケッチを見たかったです。

 

 

19 乗客 アビゲイル・ホスカット・ウィッテレル

船長夫人です。実は当時の商船は女性を乗せることは殆どなかったそうで、船長の夫人であったとしてもそれは例外でなかったようです。この辺りも事情があったのでしょうか。

船長はイングランド出身である一方でアビゲイルさんはスコットランドの出身です。アイルランド程ではないですが、スコットランドでも反イングランド感情はあったらしく、船長と一等航海士が親友同士であったとしてもホスカット家やその周辺ではイングランド人と結婚するなんてと言われ反対されたとしてもおかしくなく、その辺りを乗り越えて夫婦にということは相当な大恋愛からの結婚だったのかな、という事情が推測できます。

そう考えると、夫婦仲はかなりよかったでしょう。そうでなければ当時の慣例に反して妻を船に乗せませんし、アビゲイルさんの死が夫を探しての物だったというのも、妻の死の後で船長が自分のベッドに妻の遺体を横たえたのも夫婦仲のよさゆえと考えれば納得です。

妻は事故死のような物で夫は責任を感じてとは言え自殺、となれば行く場所が違っててもおかしくないのですが、貴方と一緒でなければ天国に行っても意味がないと地獄に行くことを選びそうです。

生まれ変わってまた一緒になったその時こそは、夫や家族同然の人達と航海を楽しんでいて欲しいものです。

 

 

20 乗客(音楽家) ヌーティオ・パスクア

乗客唯一のイタリア人。船上の宴のスケッチの中ではバイオリンの演奏をしていたので音楽家であったのは間違いないでしょう。船上では娯楽がないということで、乗客や乗員を楽しませる為にこの船にいたようです。彼が殺されたことで、オブラディン号の運命は悪い方へと動いてしまいました。

彼は貨物甲板へ向かい、そこで倒れていたホクセンを見つけてしまったことでニコルズに刺された、のですがここで気になるのは何故彼がここにいたか、です。

乗客の区画と乗員用の区画は別れているため、本来であれば彼がここに来ることはありません。バイオリンを貨物甲板に置いていてそれを取りに来た、というストーリーが予想されますが音楽家が商売道具であるバイオリンを、わざわざ遠い貨物甲板へ置くでしょうか。バイオリンは高級品のイメージもあるので、盗難のリスクを考えればそれこそ手元に置いておきそうな気がします。

ここで考えられるのは、貨物甲板の上に最下甲板がありそこに診療所があったこと。もしかしたら、お腹が痛くなったとかの理由で診療所に行こうとして間違えて最下甲板へ向かってしまい、そこで不運にもホクセンを見かけ異変に気づきああなってしまったのでしょう。

と、言うのは私の考えすぎで本当に道具を取りに行っただけかもしれません。亡くなっていた位置が乗客用倉庫の前でしたし。

自分を殺した犯人を逃してしまったからこそ、あの悲劇になってしまったのであってヌーティオさんは悔しい気持ちでいるでしょう。こっちにやってきた船員の辛い心を本来であればやっていた演奏で慰めているのかな、などと思います。

 

21 乗客 エミリー・ジャクソン

エミリーさんとジェーンさんの関係について本編では明らかにはなっていないのですが、エミリーさんの侍女説と、あと様々な考察を見ますと使用人ではないかと見ています。服装が使用人のそれではないという考察がありましたが、所謂使用人のメイド服が出来たのは19世紀の中頃で、オブラディンの頃には主人の着古しの服を着ていたそうです。それであれば使用人であの格好もあり得ない話ではないのかも。そうなると、エミリーが乗客名簿の先でジェーンが後なのが不思議ですがふたりとも侍女だったか年齢が上のエミリーを先にしたのか、だったのでしょうか。

ただ、7章その8も9章の脱出のシーンもエミリーがジェーンを庇うようにしていたので、後輩のジェーンを守ろうとしていたと見ると、ふたりの関係は同じ主人に支える者同士として信頼しあっていたのが伺えます。

そして彼女は、守りたかったけれども守れなかったという人の多いオブラディン号の中で数少ない、守りたかった人を守れた人であったと取れます。同じく守りたかった筈のアビゲイルさんを守れなかった以上、ジェーンさんだけは何があっても、と銃を取ったのでしょう。

処刑の時に銃を撃った3人が外していたのをみると、ここで一発で当てたエミリーさんは強すぎる気もしますがもしかしたら主人であるアビゲイルを守る為に銃の扱いを知っていたとかあったのかもしれません。

以前に読んだある方の同人誌で、あれは正当防衛だった仕方ないという旨の事を言っていたエミリーさんが心の底では自分が殺してしまった男のために祈っていた、というのを見て強いばかりでないエミリーさんの人間らしい面を見たような気がしました。

ロッコでの3人での生活はどのような物だったのでしょうか。自分よりも人生経験のない若いふたりを様々な物から守って生き続けていたという事が想像できます。大変な事もあるかもしれませんが、3人で穏やかに静かに暮らしていて欲しいですね、と書いていて調査員から手記が送られて着た時、やっと慣れてきたここでの生活を崩されてしまうかもしれないと感じた気持ちが何となくわかりました。

 

 

22 乗客 ジェーン・バード嬢

この時代女性は船に乗るということはなかったそうです。調べていたらそれが見つかったので、彼女が乗っていたのは彼女がインドにいる東インド会社の関係者と結婚させられるために船に乗っていた?と思っていましたがある方の考察で「アビゲイルさんの侍女では」という説を見て、それに納得したので彼女はアビゲイルさんの侍女であったと考えています。侍女は主人の旅に同行するとも見たのでそれであれば夫と共に船に乗ったアビゲイルの付き添いの為にいた、となれば尚更侍女説が濃くなります。アビゲイルさんの最期のシーンでも、彼女が様子を見に表に出ていましたし。

そうなると、7章のその8では主人を失った事になり心の傷は大きかったでしょう。更にそれも癒えぬままに船から脱出しようとしたらその際に世話をしていたと思われるポールが撃たれ、海の上でひたすらボートを漕ぎ助けを待ち、見知らぬ街で暮らさなければいけなくなり、その上世話になっていたエバンス医師も亡くなったとなれば、オブラディン号での出来事に対して「忘れたい事」と書いても仕方ないでしょう。若い女性が遭って良い出来事ではないです。

最初はなんで手記を残しておかなかったのだろうかと思いましたが、それを考えればあの船での、ましてやそれぞれの死に方が書かれている本は見るだけで嫌でしょう。

オブラディン号の帰還というゲームはエンディングは迎えましたが、その後の彼女の異国の地での人生を考えると気が重くなります。オブラディン号の噂話がモロッコまで届いていた可能性はあるでしょうし、だとしたらモロッコのフランス人居住区にいきなり現れた彼らに対してもしかしてあの人達……みたいに噂をされてもおかしくはないでしょう。その辺りで居たたまれない気持ちになりつつも本国へは帰れない、となると。それに、女性2人とまだ若い男性となるとモロッコでの生活もどうだったのか、となります。想像も出来ない苦労をしたのでしょう……。

エミリーさんの項目でも触れましたが、自分達は忘れたいオブラディン号の話にエバンス医師は執着していたのを、エバンス医師は世話になったけれども快く思っていなかったという可能性もあり、それを踏まえるととても丁寧な言葉で手記を送り返したジェーンさんはその気持ちを抑えていたのだなと気づきました……。本当は、触れたくもなかったはずでしょう。

オブラディン号であのような目に遭ってしまいましたが、それ以降はモロッコで穏やかに過ごして、最期にアビゲイルさんにまた会っていて欲しい、そう願います。