青への旅路

様々な事を語ったり、ちょっとした旅をしていた記録を残したいと考えて作ったブログです

オブラディン号の乗員乗客について語ってみました Part10 (10of12) 46~50

この記事にはReturn of the Obra Dinnのとても重大なネタバレが含まれます。このページの閲覧は本編をプレイしてクリアしてからを推奨します。

 

 

 

動画で見て知っているという方もいらっしゃるでしょうが、動画で見るのとまた違ってくるので是非本編をやってみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オブラディン号の乗客乗員を語ってみました、第9回目です。

 

 

 

何人かは既に書いていたりするのですが、全員を書いて見たのは初めてです。プレイして数ヶ月思ったことを残しておきたくなったためです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あくまでも私の独断と偏見によるものです。考察内容諸々に関しましては、他の考察を見て納得した物を取り入れそこに更に自分なりに解釈した物を入れたという、ぶっちゃければパクりと取られそうな面もあるのでご了承ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

勿論、ネタバレが含まれるので繰り返しますがここから先は本編をクリアしてからの閲覧を強く推奨します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クッションを置きました。ここから先にネタバレが含まれていますので、ご了承ください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここからが本編です。長いので何編かに別れていますし、あまりにも長くなりそうなので立ち位置ごとに分けてみました。

 

かなり長くなりますが読んでいただければ幸いです。

 

 

 

今回取り上げるのは乗員乗客の中で15人、割合としては1/4と人数としては一番多い立ち位置の甲板員の方々です。甲板員は一般の船員であり船内の役職としては一番下ではありますが船の運行に欠かせない職業となっています。

ただ、当時の感覚としては言い方は悪くなってしまいますがいくらでも替えの利く下っぱ船員扱いだったようで本編の損害査定書を見ても10ポンド、現代の貨幣価値に直すと70万円から80万円の賃金でした。波にさらわれたりする危険もあるのを考えれば安すぎますし、これならば反乱の誘いに乗ってしまうのも仕方ない気がします。そんな中で自らの仕事をこなしていた彼らを振り返っていきましょう。

 

 

46 甲板員 アラルクス・ニキシン

ロシア人の甲板員であると同時に、ニコルズの反乱に乗った1人でこちらは胸の開いた服と髭が特徴です。

Fandomで見たのですが、アラルクスというのはロシアの名前としては誤りで、その為ロシアのローカライズではAlexander、つまりアレクサンドルとなっているそうです。これだとトポロフと名前が被るのではとなりましたがアレクサンドルとアレクセイは似てるけど別の名前なのだとか。ずっとアレクサンドルのロシア語系がアレクセイだと思っていました。

彼とトポロフはニコルズの反乱に荷担した結果、人魚により海へと引きずり込まれていますが、これを「人魚にナンパされた」と表しているファンアートを見た時その発想は無かったなと感心しました。確かに船員ならではの体格は人魚が好んでも不思議ではない気もしてきます。

同じロシア人の中で反乱に加わったのはニキシンとトポロフの二人で檣楼員のボルコフはいませんが、これについては甲板員と檣楼員の立場や給与の違いも勿論あったでしょうが、二人はボルコフを内心ではあまりよく思っていなかったのではとも見ています。イカサマするなと言っている横からイカサマに見える事をしていた点や本編でのボルコフの行動を見ると、憶測ではありますがギャンブルでカモにされていたとか立場の差を盾にボルコフから強く当たられていたはありそうです。もしかしたらボルコフを出し抜いてやろうという気持ちもあったのかもしれません。

そんな背景があったのではと考えますと、反乱に乗ってしまった彼とトポロフにもある程度の情状酌量の余地が見えてきます。

 

 

47 甲板員 アレクセイ・トポロフ

ロシア人甲板員のパイプを持っている方です。私は4章でパイプを持っていたことを見逃し、ロシア人の身元判明が中国人よりも遅くなりました。見てみたらめちゃくちゃパイプ吸ってますね。周りの人から煙たいとか言われなかったんでしょうか。

この人は船上裁判にてホクセンを撃った4人のうちのひとりでもあり、その4人の中には反乱に加わったオヘーガンもいたので恐らくオヘーガン経由で反乱の話があり、そこからトポロフがニキシンに話をしたのでしょうか。

トポロフとニキシン、ボルコフとの役職の違いを考えると2人とボルコフとで同じロシア人でありながら出自とか英国まで来て船に乗った経緯が違っていそうに見えます。

ロシア人船員3人は皆、損害査定書にて「相続人の所在不明」とされています。この点については1807年に英国とロシアの間で戦争があり、またその前からロシアの皇帝の政策もあり英国と敵対関係にあったため所在を調べられなかったのではと考えています。国交を断絶しているので調べさせてくれるとも思いませんし、その為の手間もかかるので不明という事にして出費請求のみで済ませたのでは、というのが見えてきます。

また、もうひとつ理由として考えられそうなのが彼等がロシアから逃げてきた立場なのではないのかという点です。当時のロシアは農奴制となっており、農奴の生活はかなり悪く逃亡した人も多かったのだとか。ロシア人船員たちがその立場で英国までやってきた、となってもおかしくはないでしょう。

トポロフもニキシン同様に自由を求めてか、あるいは今よりもよい生活を求めてかニコルズの反乱に乗った訳ですがその結果として暗く冷たい海に引きずり込まれる形で人生を終えました。海の中で彼等は自らの選択を悔やんでいたのでしょうか、それとも自分のせいだと最期に割りきったのでしょうか……。

 

 

48 甲板員 ネイサン・ピーターズ

兄弟で船に乗っていた弟の方です。名前の由来として、アンチャーテッドというゲームシリーズに登場する兄弟の名前ではないか、というのを見ましたが作者のルーカスポープさんもこのゲームの開発元に所属していたのでその可能性が高そうです。

7章のシーンでブースに″boys″呼びをされていた点やお兄さんがいる点、本編中での行動を見るに甲板員の中では若かった方なのかな、と推測されます。

後述のリンデを殴り殺したイメージが強く、お兄さんがリンデのせいで死んでしまったと思っているのはわかるけどいくらなんでもやりすぎではないか、と思っていましたがオブラディンをやったフォロワーさんからのネイサンに対する感想や本編での様子を見て印象が変わりました。仕事をしているシーンでは大変熱心に仕事をしている一方で、6章のカニライダーが現れてからは親方に警告し、負傷したその親方を介抱し戦い、最後には親方と相討ちになった怪物に槍を刺しそれが職務上の秀でた功績に繋がっています。残念ながら正解では殺人がついているために損害査定に記載はありませんが、職務上の秀でた功績はついています。乗組員及び船の放棄と殺人で罰金額が35ポンドになりますが、25ポンドになっているのがその証拠です。

この部分を見れば英雄ですし、この物語の主人公であったと言ってもおかしくない活躍ぶりです。これがReturn of the Obra Dinnでさえなければ……。

殺人に関してですが理由が何であろうと自らの意思で殺意を持って人を殺した事実は動きません。ですが、自分の兄を殺したと思っている人間がここまでで謝る素振りがなく(リンデの発言からするとこれ以前にネイサンに謝っていたようにも見えません)、ハンモックが隣で嫌でも顔を合わせてしまう環境で、かつ自分が一生懸命に戦っていた頃当のリンデは全く姿を見せず、という状況で俺も脱出させろとやってきたのであれば、「我慢ならない」と感じて切れたとしてもある程度の情状酌量の余地はあるでしょう。6章その3でもリンデに対して「どけ」と言ってたので、この時点から既に7章その1になる布石が見えます。仲間であるブースが「俺は見てた、こいつのせいじゃない」と言っても冷静になれなかった辺り、相当リンデに対しての怒りが溜まっていたようです。

その後ネイサンの乗った脱出ボートがクラーケンによってひっくり返され同乗者の2人ごと海に投げ出されてしまったのは、リンデを殺した報いだったのでしょうか。もしリンデを殺していなければ、クラーケンの出現をうまく抜けられてネイサンが生存できた未来もあるかもしれない、と考えるとこれもReturn of the Obra Dinnであるが故の悲劇だったのかもしれません。人を殺してはしまいましたが向こうでお兄さんに会えているといいな、と思います。

 

 

49 甲板員 ラーズ・リンデ

デンマーク野郎です。英語の台詞では″Bloody Dane″、忌々しいとか残忍なともついていて、より直接的にはっきりとネイサンの恨みが伝わってきます。

1章のシーンを見ると荷物を下ろす為に指示を出したリンデが荷物が落ちそうなことに気付き止めるも、という状況だったので不幸な事故と言えば事故ですが荷物を下ろす指示を出したのはリンデだったのでリンデが殺したような物だとネイサンが考えてしまっても無理はないでしょう。また彼は6章でも怪物を見て「悪魔だ!」と叫んだ以降は皆で戦っていた場面にもいませんでした。この2つを見ると冷たいとも見えるのですが、彼の出身であるデンマークは個人の自由を重視する個人主義の傾向が強いとあったので自分の考えるままに、あれは不幸な事故なので仕方がなかった、悪魔が現れたのだから生きるために安全を確保しよう、と行動した結果であるのかもしれません。

また、リンデが6章その3以降で出ていないのは、彼が3章にて反乱を止めようとして失敗してしまったという事があり尚更余計な事をしないで自分の身を守ろうとしたのかなともとれます。3章での反乱を止めた際に頭を打っているようなので、このダメージも残っている所にネイサンに頭を殴られたのが致命傷になって亡くなってしまったのでしょうか。

双方の立場と考え方の違いでリンデは殺されネイサン達も脱出できず(リンデと揉めていなければもしかしたらクラーケンから逃げられた可能性はあります)と最悪の事態となってしまいましたが、どこかでリンデが「事故であったと思っているけれども、責任は俺にある、すまなかった」というように謝っていればこのような事は起きなかったかもしれません。唯一の北欧出身の船員で船の中では孤立しがちだったかもしれませんが、向こうでは皆と仲良くなっていて欲しいですね。

 

 

50 甲板員 ジョン・ネープルズ

この方が亡くなった経緯に関して少々わかりづらい所があったのですが、5章その4のシーンでダールが人魚を殺そうとしたのではという考察を見て、ダールが人魚を殺そうとした所に人魚を庇ったかあるいはダールに狙われたかでああなったのだとわかりました。ネープルズ

に対して「職務上の秀でた功績」もついていますし、恐らく前者の線であると考えられます。結果的にはダールの判断が正しかったこともあってか、何でダールに罰金が出てこの人が止めなければ船が救われたかもしれないのにこの人に報償金が?と思われた人も多いのではないでしょうか。ただ客観視点というか調査員視点ではダールが物を傷つけようとして船長の命令を無視した人間に対して、ネープルズは荷物を守ろうとして命を失った人になるので、ここから保険調査員はあくまでも感情の入らない立場であるというのがわかります。事実はひとつだけれども、その事実をどう受け取るかは貴方次第、というこのゲームの面白さを改めて考えさせられました。

危険を省みずに荷物を守ったとかの所を見るに、仕事熱心で船長にも信頼されていたのでしょうか。ネープルズが亡くなった事で船長が尚更頑なになってしまったのかもしれません。

前の話と矛盾する所もあるかもしれませんが、彼が止めなければ6章以降の犠牲は無かった可能性はあります。しかし彼はそもそも運んでいる物が危ない物であるのも知らなかったので船員としては船長の言う通りにしてその為にやるべき事をやるしかなかったのでは、とも思います。その意味で、彼も運命に翻弄されてしまったのかもしれません。