青への旅路

様々な事を語ったり、ちょっとした旅をしていた記録を残したいと考えて作ったブログです

オブラディン号の乗員乗客について語ってみました Part12 (12of12) 56~60

この記事にはReturn of the Obra Dinnのとても重大なネタバレが含まれます。このページの閲覧は本編をプレイしてクリアしてからを推奨します。

 

動画で見て知っているという方もいらっしゃるでしょうが、動画で見るのとまた違ってくるので是非本編をやってみてください。

 

 

 

 

オブラディン号の乗客乗員を語ってみました、第12回目です。最終回です。

 

何人かは既に書いていたりするのですが、全員を書いて見たのは初めてです。プレイして数ヶ月思ったことを残しておきたくなったためです。

 

 

 

 

 

 

 

あくまでも私の独断と偏見によるものです。考察内容諸々に関しましては、他の考察を見て納得した物を取り入れそこに更に自分なりに解釈した物を入れたという、ぶっちゃければパクりと取られそうな面もあるのでご了承ください。

 

 

 

 

 

勿論、ネタバレが含まれるので繰り返しますがここから先は本編をクリアしてからの閲覧を強く推奨します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クッションを置きました。ここから先にネタバレが含まれていますので、ご了承ください。

 

 

 

 

 

ここからが本編です。長いので何編かに別れていますし、あまりにも長くなりそうなので立ち位置ごとに分けてみました。

かなり長くなりますが読んでいただければ幸いです。

 

今回取り上げるのは甲板員の皆様第3回目です。この時代は船員が足りなくなりがちで、ではどうやって連れてくるかと言えば船員を徴収する担当の人が身分を隠して酒場に入り一緒に酒を飲む、時には相手に飲ませた上で、大量の酒を消費させてお金が払えないとなりそれならばと船に連れていったそうです。本編でも損害査定書で「未払賃金」とありましたが、この時代船員の給与は前払いではなく、港に帰ってきてから給料が払われしかも航海の途中で使ったお金はそこから引かれる形となっていたそうです。勿論、酒を飲ませて連れてきた人の酒代も給与から引かれます。また、その時運悪く酒場にいた人を無理矢理つれてきた強制徴収というのもあったそうです。

そこまで船員が足りないのであれば給料を上げたり待遇をよくすればとも思いましたがそれは現代の感覚であり、当時はいかに安い船員をこき使うかという事に意識が向いていたという話もあったので、そのような考えが無く船員の存在や命が軽く扱われていた大変な時代でした。

そんな中で一生懸命に生きて命を散らせた、"ごく普通の人達″の物語がReturn of the Obra Dinnです。これまで続いてきたオブラディン号語りもこれで最後、お読みいただければ幸いです。

 

 

56 甲板員 ヘンリー・ブレナン

最初の方に出会う人間なのに、名前の判明が後になりがちであり「誰なんだお前は」と言いながら手がかりを探していた人も多いのではないかと推測される、大変に印象に残りやすいニット帽のおじさんです。9章のシーンで名前を呼ばれて耳を傾けていたのが特定のポイントのようですが、見逃してしまいやすいですしそこで?となりますよね……。

とある洋ゲーオンリーイベントでは船長を差し置いてイベント告知のバナーに登場したという辺り、ある意味でこの人が作品の顔でもあるとも言えるのかもしれません。それもそのはず、登場回数が一番多いのが彼です。

そして登場回数の多さ以上に目を引くのが、プレイヤー目線では序盤となる終幕のシーンで船長に対して殺る気を見せ、9章でもヴィアテルを成り行きで殺害してしまい困惑するデービーズを事情も聞かずに勢いよく殴り殺すと、人を殺しに行く場面が目立つこと。更にこれは殺人の人数に入りませんがホクセンを正確な射撃で処刑しています。殺戮隊長だの殺戮ニット帽だの撲殺ニット帽だのとんでもないあだ名がつくのも無理はありません。

ですが、そんな彼にも人間らしい感情を見せているのではという所があり、5章でタンの巻き添えになり人魚のトゲに殺されたハマドゥの遺体の側にいて、落ち込んでいるとも悲しんでいるとも見える場面がありました。

船員番号もハマドゥとブレナンが隣同士、そしてハンモックも同じ区画だった上に5章であのような場面があれば、ハマドゥとブレナンは大変に仲がよくハマドゥの所でも書きましたがそれこそ兄弟のように日々を過ごしていたのではないかとも考えられます。完全に見た目からの判断ですがブレナンが先輩としてハマドゥに仕事を教えていたのでしょうか。

そんなハマドゥが船長の持ってきた人魚がきっかけでああなってしまったのであれば、既にこの時点から船長に対する不信が芽生えていたのかも知れません。6章の序盤や7章の砲列甲板にもいたので尚更、この場面で居なかった船長への疑念が沸いてしまい10章で船長から貝殻を奪おうとしたのでしょう。

全ての事実が判明した立場で10章でのブレナンを見ると自分が生き残るために、そしていなくなった仲間の仇を取ろうと強い意思と殺意があってああなったのだな、と思います。船長の貝殻はない、にすぐに嘘だと切り捨てた所に静かな怒りを感じました。

殺人の罪は犯してしまっていますが、天国でブレナンや他の仲間達と出会えていて本編では見せなかったような穏やかな顔を見せて過ごせているといいなと思います。

 

 

57 甲板員 アレクサンダー・ブース

黒人船員のひとりで、見た目でこの人を同じ黒人のハマドゥと予想しあれ?となった人もいるはず。様々な理由でイングランド出身の黒人はこの時代数は少ないながらもいたそうです。

この人は驚いている場面が多く、一部では顔芸とも言われています。ただ彼がいた場面が1章の事故現場だったり、7章のリンデ撲殺の場面だったので驚いた顔が多いのも無理はないでしょう。

7章でこいつのせいじゃない俺は見てた、とネイサンに冷静になるように言い最後にはやめろ、と強く言った辺り揉め事とかそういうのをあまり好まない性格だったのでしょうか。ネイサンの熱くなりやすい性格を日常的に止めていたのがブースだったというのはあったかもしれませんね。事務長とネイサンとブース、本編での絡みがないので何故このメンバーで脱出しようとしたのかという疑問が出てきますが、ネイサンとブースが日頃仲良かったとかはありそうです。とてもどうでもいい話ですが、Bリーグ見てると「ネイサン・ブース」という選手がいるので否応もなしに脱出未遂組を思い出てしまいます。

船をひっくり返されて海に転落しているので助かった可能性は低いでしょうが何らかの形でうまく行って助け出された3人や、クラーケンに捕まらずにうまく抜け出せた3人の「もしも」があるのではないか、とついつい想像してしまいます。

 

 

58 甲板員 パトリック・オヘーガン

生きてるか?!(生きてません)の人。パトリックという名前はアイルランドでは守護聖人のパトリックに由来する名前であるので、彼の家族が愛国心の強い人で彼自身も愛国心が強かったのではないかと思っています。

そのアイルランドは1801年にイングランドに併合されているので、イングランドの船でのしかも甲板員としての勤務は彼自身もかなり複雑な物があったでしょう。私は反乱の主犯はギャリガンだったという考えなのでギャリガンが同郷のオヘーガンを反乱に誘い、そのオヘーガンが仲間のトポロフ(船上裁判で共に銃を打っている)、トポロフから同じロシア人のニキシンを集めたとみています。ギャリガンからは祖国のために必要な事だとか言われて協力したような感じがします。

オヘーガンは3章のシーンでティモシーがニコルズに撃たれた際、ニコルズの横にいて若干厳しいとも取れる表情で撃たれた先を見ているようにも思えるので、もしかしたらティモシーに対して何か思う所があったのかもしれません。ティモシーの出身はスコットランドで、スコットランドアイルランドは共通するところもあり仲が悪いわけではないようです。イングランド人船員とは距離を感じており、言葉の通じない外国人船員ともちょっと、であればティモシーが船員で比較的話の出来た相手だったとかはありそう。

そして、海の上で怪物に遭遇し、この時に武器をとニコルズに言っているのに当のニコルズはいいから漕ぎ続けろ、といいそこで人魚に槍で刺されて亡くなってしまいます。ニコルズが漕ぐのをやめて、言う通りにオヘーガンに武器を渡していれば助かったかもしれないのに。その一方、これはフォロワーさんが語っていた事での気づきですが、人魚の出現後ギャリガンが最初に「生きてるか?漕げそうか?」と言っていたのは、ギャリガンなりに同郷のオヘーガンを気にかけていた台詞であるようにも見えてきます。

ニコルズが自分の言う通りにしなかったが故に死んでしまい、反乱計画もうまく行かなかった事にあの世のオヘーガンも納得がいってないでしょうが、そこにティモシーが「難しい顔してないで、まぁ飲めや」とか言ってふたりでお酒を飲んでいるのかも。オヘーガンとティモシー、生前も飲み仲間だったような気がします。

 

 

59 甲板員 ジョージ・シャーリー

てっぺんははげていてサイドには髪が残っているという記憶に残りやすい姿をしているおじさんです。見た目からすると、この人も経験豊富そうな感じがします。

見ていけば見ていくほど味のある、まるでスルメのようなおじさんです。この人に出会うのはまず死の場面からというケースが多そうですがこの人の死は怪物により火のついた大砲を向けられてしまった掌砲長を助けようとして間に合わず……で、死の瞬間が記録されているにも関わらず船の外に吹き飛ばされて遺体が見つかりません。そして査定書にて「著しく勇敢な行為」がシャーリーに付けられています。いくら上司に言われたとはいえ、導火線のついた大砲が自分に向いているとどうなるかなんて想像がつきますから掌砲長を助けに行かなくても責められないのにシャーリーはそこで掌砲長を助けに行って亡くなってしまった……。その勇敢さに涙が出ます。

そしてその前の場面で中国人檣楼員のリーと楽しそうに食事を取っていました。別の箇所ではとんでもないことが起こってはいますが、このシーンはこれまでもあったような穏やかな日常です。シャーリーのハンモックは中国人檣楼員4人と同じ箇所にありましたし、船上の宴のスケッチでもジャンと一緒にサイコロのような物で遊んでいたのでシャーリーは中国人檣楼員ととても仲がよかったのだと推測されます。たった1人になってしまった中国人のリーを、同じ区画にいたシャーリーが励ましていたというのもあったのかもしれません。そのリーは7章その7で火薬を持ってクラーケンに応戦していたので、いかにシャーリーが慕われていたかというのがよくわかります。仇を取ろうとしたのでしょうか……。中国語が少し出来たとかそういう理由で中国人の区画にいて、最初は距離もあったけれども徐々に仲良くなっていったとかの物語が見えてきて。なんでこの話、Return of the Obra Dinnだったんでしょうか……。

行動を追えば追うほど、この人がいい人だったのではないかというのが伝わってきます。そういう人の所にも死が訪れるというのが無情ですね……。空の上であの時中断されたであろう食事の続きを、他の中国人乗組員達も一緒にしていて欲しいです。

 

 

60 甲板員 サミュエル・ピーターズ

この船員語りのトリを飾るのは、ネイサンの兄さんサミュエルです。船上の宴のスケッチでも兄弟一緒で仲の良さを伺わせます。それに、ネイサンがお兄さんを殺されたと思っている恨みをずっと抱えていたという所からも本当に仲の良い兄弟だったというのが伝わってきます。仲悪かったらそこまではしないでしょうし。そして、ネイサンの区画のみハンモックがネイサンとリンデとオミッドの3つとなっていたのは本来はサミュエルがいる予定だった、というのもどこかで見てネイサンは様々な形でどうしても兄の死を意識させられてしまい、それなのに兄の代わりに見る顔が謝りもしなかった兄の仇だったというのも見えてきて。

兄弟なのに船員番号が連続していない事について、ある方が「もしかしたら最初はサミュエルが乗る予定は無く、ネイサンが乗るとわかってから後で乗ったのではないか。その為に兄の死に負い目と責任を感じていた?」という想像をしていたという話を見て、それならばリンデを余計に恨んでしまうのもわかりました。

もしも出発早々に荷物の崩れによりサミュエルが亡くなっていなければ、ネイサンもリンデもお互い破滅的な結末を迎える事はなかったでしょう。オブラディン号からすれば、その時は末端の船員が事故で亡くなっただけのことでしたが、それが知らぬ間に最悪の結果へと繋がり続ける悲劇の扉を開いた出来事であったのかもしれません。これ関わっていたのが船員番号が一番最後人間だった、というのが意味深に感じられます。

あの世で弟の事を心配しながら見守っていたであろうサミュエルがは今頃ネイサンとの兄弟水入らずの時間を過ごしている事でしょう。

 

 

 

 

ここまで60人分の船員語りを行ってきました。色々な人がやっていたのを見て、それならば私もやってみようと始めましたが、完成まで1年以上の時間を要しました。私自身がひとつの事に取りかかると物事が一気に進む一方で、少しでも時期が空くと全然何も進まなくなるタイプなのでこうなってしまいました。お待たせしてしまい、大変すみませんでした。

船員語りをするに際して、調べて始めて見つかった事実や気づきもあり様々なことが参考になったと同時に、とても楽しかったです。今後も船員語りを加筆修正したり、Return of the Obra Dinnについてまた書きたいので、その際はまた読んでいただければ幸いです。

それでは。