青への旅路

様々な事を語ったり、ちょっとした旅をしていた記録を残したいと考えて作ったブログです

オブラディン号の乗員乗客について語ってみました Part11 (11of12) 50~55

この記事にはReturn of the Obra Dinnのとても重大なネタバレが含まれます。このページの閲覧は本編をプレイしてクリアしてからを推奨します。

 

動画で見て知っているという方もいらっしゃるでしょうが、動画で見るのとまた違ってくるので是非本編をやってみてください。

 

 

 

 

オブラディン号の乗客乗員を語ってみました、第11回目です。

 

何人かは既に書いていたりするのですが、全員を書いて見たのは初めてです。プレイして数ヶ月思ったことを残しておきたくなったためです。

 

 

 

 

 

 

 

あくまでも私の独断と偏見によるものです。考察内容諸々に関しましては、他の考察を見て納得した物を取り入れそこに更に自分なりに解釈した物を入れたという、ぶっちゃければパクりと取られそうな面もあるのでご了承ください。

 

 

 

 

 

勿論、ネタバレが含まれるので繰り返しますがここから先は本編をクリアしてからの閲覧を強く推奨します。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クッションを置きました。ここから先にネタバレが含まれていますので、ご了承ください。

 

 

 

 

 

ここからが本編です。長いので何編かに別れていますし、あまりにも長くなりそうなので立ち位置ごとに分けてみました。

かなり長くなりますが読んでいただければ幸いです。

 

今回取り上げるのは甲板員の皆様です。甲板員は5人ずつ3つに分かれています。

オブラディン号の船員は多種多様な国籍ですが、そのような船員がどのようにして集められたかという件に関して、直接的な形ではないですがインタビューで作者のルーカスポープさんが答えており、航海した先から付いてきたり、時には誘拐(!)もして世界中から船員を集めたのだとか。実際の船もそうなのでしょう。

ただ異なる点として、オブラディン号の船の規模ですと本来はこの倍の人数、つまりは120人で動かしていたそうです。それが60人となったのは、120人だと多すぎてしまう、というのが理由だとルーカスポープさんは答えていました。確かにこの倍いたら、私はゲームを投げていたでしょう……。

それはそれとして、甲板員第2回目です。

 

 

 

51 甲板員 レンフレッド・ラージューブ

本編を見ていても本当に仲がよかったのだろうなぁというのが伝わってくる、4人いるインド人船員の1人です。

インド人船員についてですが、彼らの待遇は酷いものでヨーロッパ人や黒人の船員よりもはるかに低い給与で(白人船員の半分という話もあります)、長時間の労働を課せられていたそうです。その上インドへ帰る船を待つ間何もせずに待機せねばならず、その為の場所がなかった事もあるのだとか。作中でも出てくる「インド人水夫の待機所」にいられるのもまだいい方だったとは……。

この辺りの話を考えるとこの二人が病にかかり他の人達は皆健康、という事態であったとしても無理はないと感じました。

いずれにしても、過酷な環境の中でインドに戻れる日を夢見て働きようやくインドに帰れる船に乗れたという背景があるのを考えると、インド人船員達の死がより悲惨に感じられます。そして仲良かったんだなぁと思った彼らの関係がより重く見えてきます。仲間同士で励まし合っていたのでしょうか……。帰れなかったのが、仲のよい4人が引き裂かれるような死に方となってしまったのがとても辛くなります。

ラージューブはサイドに続き病に倒れてしまいますが、それよりも前の1章では樽を持ち上げているほどでエバンスの話の通りならばこの時に既に病に感染していた事となりその中でこうして働けていていたのが無理をしていたようにも思えてきます。それとも、働いていて一気に悪くなってしまったのでしょうか。

ラージューブが亡くなるシーンで、ワシムが外で心配そうにしながら座り込んでいましたが恐らく仕事もあるのにそこにいたということは仕事どころじゃなかったのでしょう。そして、その後マーティンからの知らせを聞いた時の落胆はどれほどの物だったのか……。背景も考えるともう言葉になりません。

向こうの世界でまた4人で仲良く、きつい労働をする事もなくのんびりと過ごしている事が出来ますように、ただそれを願っています。

 

 

52 甲板員 アブラハム・アクバル

人のよさそうな見た目をしている一方で、ハンモックの番号で身元を調べようと思ったら使っていたハンモックの番号が″X″で面食らった調査員も多かったと思われます。

2章ではサイドの遺体の前でうなだれていますが、彼らの背景を考えれば仲間がいなくなってしまうというのは相当悲しかったでしょう。更に同じ病でラージューブも失い、ワシムと2人で頑張っていこう一緒にインドへ帰ろうとしていた矢先にワシムも亡くなってしまいます。しかもこの時、バランスを崩してしまったことによりアクバルも荷物から手を離してしまったので、あそこで荷物を手放してしていればワシムは死ななかったと思っていたかもしれません。

それでもひとり残されながらも最後までオブラディン号の船員で居続けようとしたという所で彼がインドへ帰る未来があって欲しかったのですが、船のために戦おうとした矢先にクラーケンに握り潰されたというのが残酷すぎます。

更にそのシーンで大砲に火をつけていたがために、掌砲長とシャーリーも巻き添えになり、この部分の調査員の判定次第では掌砲長とシャーリーを殺した扱いとなり、彼に罰金が請求されます。アクバルに原因があるのを不正解にする方がフェアではないのも納得できますが、遠い国できつい環境で一生懸命に仕事をしてて、仲間を失ってインドに帰りたかったのにそれが叶わなかった上に、インドに残された彼の家族に罰金請求が行くなんてあまりに辛いです。その辺りも考えて、私は掌砲長とシャーリーの殺害を行ったのは怪物としました。

ひとりだけ生き残っていた彼の心の中に、仲間の魂と一緒に故郷のインドに帰りたい気持ちがあったでしょう。インドには戻れませんでしたが「アクバル、お前さんをずっと待ってたんだよ」なんて感じで彼を迎える声が聞こえたような気がしました。

 

 

53 甲板員 ウィリアム・ワシム

インド人達の中で唯一帽子を被っているので印象に残りやすい人です。2章のその1では咳き込むサイドに対して2章のその2で医務室の外で心配そうに座っていたりするのを見るに、優しいというか面倒見のよいタイプだったのだなと思わせてくれます。他のインド達の面倒も見ていたのかもしれません。

ワシムの死も不運な物で、セフトンが人魚を刺激してしまいバランスを崩してしまった結果その先に樽があり担架と樽の間に頭を挟まれて死亡という物です。階段からの転落でも正解になります。いずれにしても、その先に樽さえなければ、セフトンが余計な事をしなければワシムが死ぬことはなかった訳で、不運の連鎖により悲劇が起こってしまう辺りがReturn of the Obra Dinnだなと思わせてくれます。でも、過酷な環境の中で一生懸命に生きてインドに帰る日を待っていたワシムを選んだのが残酷です。

ラージューブとサイドが病で亡くなった後で、残されたアクバルとどのような話をしていたのかとかを考えてしまいます。反乱があった後で、俺達もああやって抜け出せたかもと一瞬だけ思いながらもそれを否定して一生懸命に働いてインドに帰ろう、そしてずっとふたりの事を忘れずに生きていこう、とかお互いで誓って航海を続けていたのでしょうか。

面倒見のよさそうなワシムの事、死んだ後でもアクバルの事を心配していてアクバルがワシムの所に来た時「お前さんはインドに帰って欲しかったのに……」と心から残念がっていそうです。ふたりや他のインド人達の忙しくも穏やかな日々が見たいですね。

 

 

54 ソロマン・サイド

インド人4人の中で一番最初に病に倒れてしまった人です。ズンギも含めて皆が悲惨な亡くなり方をしているインド人ですが、先の背景を踏まえるとその悲惨さが更に増してきます。

インド人4人の中で船員番号が一番後である所を見ると、もしかしたら彼が4人の中で一番の後輩だったのかもしれないなとも考えています。色々3人から仕事のやり方を教えてもらっていたりしたのでしょうか。

彼は病気で亡くなってしまいますが、この病気に関して密航者から感染した物ではとの考察もありますが私は違うと考えています。何故ならば近くでの咳でワシムとアクバルが感染しない程に感染力が弱いのに密航者のいた樽に触れた事で感染するというのは矛盾していますし、このゲームはミスリード目的で全く見当違いの事を言うのはないと思われるゲームです。エバンスが「水夫の待機所で感染したのではないか」と言っているのであればそうなのでしょう。そしてこのゲームは一部例外はありますが一つの章で起こった出来事はその章で解決するようになっているように見えます。もし密航者が原因であれば、密航者の死が2章の頭に来る気もします。

また何故インド人の中で病死したのがサイドとラージューブだったのかという事に関して船上の宴のスケッチ上でサイドは酒を飲んでいるように見えるが実はこれが水タバコを吸っていて、ラージューブと水タバコを共用していて感染したのでは?という考察も見ました。確かに水タバコ共有であれば感染してもおかしくないですし、喫煙者であれば一気に肺が悪くなってしまった理由としては説得力があります。ただインド人水夫の扱いの悪さを考えると水タバコを喫煙出来るお金があったのかという点が怪しくなりますが。船上の宴ということで船長辺りが用意してくれたのでしょうか。

インド人4人の最期はあのような形でしたし、彼らの背景は過酷であったと考えられますがそれでも、同じような状況の気心の知れた仲間との心が安らぐひとときがあったのかもしれない、いえそれが彼らの日常にあって欲しいと心から思います。

 

 

55 甲板員 ハマドゥ・ディオム

オブラディン号の中にいる黒人船員のひとりです。彼の出身地であるシエラレオネは西アフリカの国で、解放された奴隷の定住地として計画され、オブラディン号が見つかった年の翌年1808年に英国の植民地になります。その前からもこの地域で奴隷狩りが行われていたので、もしかしたらハマドゥも奴隷だったのかもしれませんが18世紀後半以降は奴隷廃止運動が起こりつつあったので奴隷というよりは入植者によって英国に連れてこられたという説も考えられます。見た考察の中には密航者説もありました。

ハマドゥと言えばやはり、本編の中で一番忘れられない人も多いニット帽のおじさんブレナンでしょう。9章で四等を撲殺したにも関わらず全く取り乱す様子もなかったブレナンが、5章でのハマドゥの遺体の前で落ち込んでいるように見えます。鬼の目にも涙、という印象を抱いた人も多いのではないでしょうか。この様子と、ハンモックが近くにあった事を考えるとハマドゥとブレナンはとても仲がよかったのだろうなと思えます。この時代の船でハンモックが同じ区画だった人達は兄弟のような関係になるという話も聞いたので、家族から離れ遠くに来ているハマドゥにとってブレナンは頼れる兄のような物だったしょうし、ブレナンもまたハマドゥを可愛がっていた事が想像できます。それほどの関係の相手を失ってしまったブレナンの悲しみは相当大きかったでしょうし、ハマドゥの死がブレナンの船長や航海士への不信を膨らませてしまったのかもしれません。

向こうでブレナンと再会していて、また一緒に兄弟のように過ごしていて欲しいですね。