青への旅路

様々な事を語ったり、ちょっとした旅をしていた記録を残したいと考えて作ったブログです

オブラディン号の乗員乗客について語ってみました Part2(2of12 6~11)

この記事にはReturn of the Obra Dinnのとても重大なネタバレが含まれます。このページの閲覧は本編をプレイしてクリアしてからを推奨します。

動画で見て知っているという方もいらっしゃるでしょうが、動画で見るのとまた違ってくるので是非本編をやってみてください。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オブラディン号の乗客乗員を語ってみました、第2回目です。タイトルのPart2
of◯◯は本編を真似して付けた物です。

何人かは既に書いていたりするのですが、全員を書いて見たのは初めてです。プレイして数ヶ月思ったことを残しておきたくなったためです。

あくまでも私の独断と偏見によるものです。

勿論、ネタバレが含まれるので繰り返しますがここから先は本編をクリアしてからの閲覧を強く推奨します。


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クッションを置きました。ここから先にネタバレが含まれていますので、ご了承ください。


ここからが本編です。長いので何編かに別れていますし、あまりにも長くなりそうなので立ち位置ごとに分けてみました。
かなり長いですが読んでいただければ幸いです。




6 甲板長 アルフレッド・クレスティル
″Where is my Frenchman?″
動画で見た時は失礼ながら印象には残っていなかったのですが、実際にプレイしていて強い印象を残した人です。
自分もこの後で息絶えるほどの大怪我をしているにも関わらず、気にしているのが自分の助手の安否というのがもう……。普通それどころではないでしょうに。彼は日本語版では「フランス野郎」ですが英語の台詞では″My Frenchman″と呼んでいる事と合わせて、どれだけ助手を信頼していたのですか……。どれだけ大切に思っていたのですか……。8章のその8、クレスティルさんがクラーケンに捕まりそうになった時にフランス野郎がクラーケンに槍を刺してましたが、すぐその行動が出たという事はフランス野郎にとってクレスティルさんはいい上司であったのがこの場面から伝わってきて、My Frenchman……となります。上司と部下以上の関係ですよ、彼らは。
で、最初はフランス野郎呼びはフランス人が気取ってるとかで嫌いだからかなと思っていましたがそうではありませんでした。この時代、甲板長の故郷のオーストリアと甲板手の故郷のフランスは戦争していました。オブラディン号の年の頃は落ち着いていたとは言え、上司部下が敵国同士でこのような関係であるというのが(甲板手はフランスを捨てた説もありますが)、とても心を揺さぶるものがあります。この二人はどうやって出会い、どのようにして信頼を築いて行ったのでしょうか。フランス人は嫌いだがあいつは認めてやってもいいかもしれないなんて思っていたらいいですね……。
今見たら亡くなった9章その1で最初、「離せ、下ろせ」って言っているんですね。もしかしたら、自分で助手を探しに行こうとしていたための言葉だったとも思えてきます。どこまでも助手思いの上司だったのですね。
もうひとつ甲板長関係で熱いのは、後で出てくるスミスさんに銃を手渡した場面です。結果としてこの銃が蟹の化物蟹ライダーを倒したので、甲板長はファインプレーだったと言えます。非戦闘要員の船匠に銃を貸すのはためらってもおかしくない所を、船の危機ということで貸したのでしょう。
甲板長として船を守るという仕事を助手と共にこなしていた立派な人でした。もっと生きていれば、船の運命も違っていたかもしれません……。


7 甲板手 チャールズ・マイナー
フランス野郎の方のFrenchman。
彼の部屋には多くの額縁が飾られていていて、いかつそうな見た目からは想像できませんが(失礼)やはりフランス出身らしく、絵に関心があったのでしょうか。
フランス語だとシャルルと読むのはよく知られていますが、フランス語版では名字の読みが「マイネル」になっているらしいとも聞きました。
甲板長のパートでも触れましたが、彼はクラーケンに捕まっていた甲板長を助ける為にクラーケンに槍を刺していました。この場面で、甲板長と甲板手の強い信頼関係が見えてきますし、甲板長を助けたくて自分の危険を省みずに戦ったのだろうなというのが伝わってきます。戦争をしていた敵国同士の出身でこのような関係になれるというのは、改めてふたりの間に上司と部下の関係を越える物があったのだな、と感じました。本編でも勤勉に仕事をこなしている姿が見えたので、それが甲板長の心に響いたのでしょう。
甲板手で衝撃的だったのは、最後の損害査定書にて「相続人なし」とあったこと。甲板長が彼の身元を引き受けていたのでしょうか……。この辺りに関しては、フランス革命により反革命者と見なされた人間が追放され、フランス海軍でもそれがあったようなので国を離れざるも得なくなりそこから甲板長の元へたどり着いたのでは、説があります。その上当時の英国とフランスも関係が悪かったのでなおのこと相続人を見つけることが難しかったのかもしれません。
そして彼は、失踪者扱いとなっており遺体は見つかっていません。甲板長は遺体のそばにいる事も彼を見送る事も出来なかった、と考えるとこの最期は胸に来るものがあります。
遠い異国で敵国出身の上司との絆に生き、それに殉じた男を忘れる事はないでしょう……。向こうで「どこへ行ってたんだフランス野郎、私の側から離れるなというのを忘れたのか。今度こそ勝手にいなくなるんじゃないぞ」と言われてるといいな、と。


8 船医 ヘンリー・エバンス
全ての始まりを作り、この人がいなければオブラディン号の事は語られなかったであろう人。
何かと裏がありそうだったり、サイコパス的な印象で見られがちなのは、メメントモーテムを持っていながら殺人の犯人を告発しなかったり、8章でペットの猿を殺したりとした行動の為でしょうか。
そう見られがちな理由として言い方はあれかもしれませんが、エバンス医師の行動で人間らしい所だとかが見えない点であるのかもしれないな、と考えました。他の人は船を守るために戦ったりとか、自分の欲望の為に動いたりとか感情を強く見せる動きがある一方で、彼は見ている限りでは自分の仕事をこなしているのみでそれが薄く見えました。
そのような立ち位置になっているのは、エバンス医師が登場人物であると同時にオブラディン号の観察者とか記録者であったからではないかと私は取っています。
ペットの猿を殺したのも、オブラディン号で起こった事を記録するためで人によってはそれがやばい人、みたいに思われがちですがそうなったのも理解は出来ます。そもそも、オブラディン号の記録を残したい気持ちがなければ保険調査官に依頼することをしません。それでは何故そうしたのかと言えば調査官へのジェーン嬢の返信を見るに生存した3人は恐らくオブラディン号の話を忘れたがっており、エバンス医師も余命幾ばくもないとなれば、誰もオブラディン号の事を語る人はいなくなります。エバンス医師はそれを危惧していたのではないかと思われます。
そこまでしてオブラディン号の事を記録に残したかった理由は、自分が関わった人達の存在や自分の仕事(こちらの方が大きいかもですが)を忘れて欲しくなかった為なのかもしれません。物語の上では余り他の人と絡んでいるようには見えなくても、彼なりに時間を共にした人に感じる所があったのでしょう。
ただ、エバンス医師は小包を受け取ってまもなく病のため亡くなりましたとジェーンからの手紙にあり、調査官がメメントモーテムを使い8章の記録を完成させるのが手紙を受け取ってからなので、彼は手記の完全版を読めなかったと思われます。彼がそれを無念に感じてこの世を去ったのかそれともこの記録が誰かに読まれるのであればそれでよいと満足してこの世を去ったのかは彼にしかわかりません。最後に見た手記のページは、助手のウォレスさんのそれだったのでしょうか……。


9 ジェームス・ウォレス 船医助手
2章のシーンでエバンス医師が診察していたのにくつろいでいたり、当時の船医助手は王立の医学校の証明書が必要だったのでそれなりの地位があったかもしれない、との考察を見ていい所のお坊ちゃんイメージでいました。それでいて、彼が蟹ライダーと戦って死んだというのが不思議でした。
ですが、医者という仕事は稼げはしますがかなりきつい仕事で、ましてや色々と不自由な船の中にある程度いい地位があるにも関わらず行った(良い地位があれば他のもっと楽な道もあったでしょうし)、更に医学校を出ていた事を考えると自分から志願してこの道を選んだのではないか、とも見えてきた時に蟹ライダーと戦って亡くなった事が腑に落ちました。その直前のシーンで戦っていたことはうかがえますが、それ以外の状況がはっきりしないので船を襲う謎の怪物を放置できなかったのか、あるいは戦っていたジャンやオファレルを助けようとしたのかはわかりません。どちらにせよ、彼が相当の勇気を持って怪物に戦いを挑んだのには変わりはありません。このシーンを改めて見てみましたが首を切られる音がなかなかえぐいです。痛そうなんて物じゃないですね……。
船上の宴の絵でもエミリーさんと踊っている?(エミリーさんに腕を引かれているのかも、ですが)所もあるので、外交的で明るめな一方で熱い気持ちを持っている人だったのではないかとも思えてきて、そうなるとエバンス医師とは反対の性格にも見えます。風変わりな自分を慕ってついてきてくれる助手に表には出さないけれど思う所はあったのでしょう。もしかしたらエバンス医師が記録を残したかった理由の中には彼の事もあったのかもしれませんね……。


10 ウィンストン・スミス 船匠
親方。もうそれ以外の言葉が浮かばない、かっこいい親方です。この後もスミスを親方と呼ぶ表記が続きますがあえて親方、と呼ばせてください。
この親方ですが、(不快になってしまう方もいらっしゃる話となってしまうことを失礼いたします)この時代立場が良くなかった黒人であり、なおかつ30年程前まで英国の植民地であったアメリカの出身でありながら英国の東インド会社所属の船の船匠にまでなったという事はかなり腕の良い人であったのは間違いないでしょう。
弟子がやられた後自分の安全を一番に考えて何もしなくてもよかった筈です。ましてやマーカスが襲われた際に負傷していたのであればなおの事です。しかし親方はそうせず、マーカス含め数多くの人を犠牲にした蟹ライダーと戦いました。船匠ですから力はあったでしょうが本来は船上での戦闘を想定していない人員でかつ負傷していたにも関わらず弟子であるマーカスの仇を取るために銃を手に取り立ち向かい蟹ライダーと相討ちになった、このシーンは間違いなくオブラディン屈指の胸が熱くなるシーンです。私が同じ立場だったとしてもこのような行動は取れません。
親方の中には仇を取りたかった以外にも、自分が育てた弟子であり仕事の相棒でもあり、もしかしたら自分の後を継がせようと考えていたかもしれない弟子を守ることが出来なかった悔しさが心にあったが故に、あそこまでの行動に出たのかもしれないな、とも考えましたね……。ニコラスがやられた、の場面でマーカスを止めたのは、マーカスを守りたかった気持ちの表れであったと私は取りました。ニュースで伝統工芸の職人さんが師匠は自分の仕事の時間諸々を削って弟子を育ててる、と見て親方とマーカスもこうだったのかもしれないな、と思いを馳せました。
また船大工であるという立場から自分が大切に修繕してきたオブラディン号には強い思い入れがあったでしょうし、それを守りたかったのもあったのかもしれません。たとえ、自分の命を引き換えにする形であったとしても。
あと、親方が階段を下りてくる6章その5の場面で、チャールズが燃えているのも見ている(チャールズの方を見ていたようにも見えますし)尚更自分がやらなければとなったのかもとも思います。
実は本編中では戦っていた蟹の死体はありますが親方の遺体は誰かが海へ葬ったのかありません。ですが、蟹の死体を通じて親方の強いこいつを何としてでも倒さなければいけない、という執念と生き方を見たような気がします。
淡々と保険調査をしていたはずの主人公の記述がここだけ私情が入っているように見えるのも、戦い仇を取った姿をみれば納得です。
向こうでも「しょうがないなぁ」と言いながらマーカスの面倒を見ているのでしょうか……。


11 マーカス・ギブス 船匠弟子
本編の中でもっとも格好良かった親方ことウィンストン・スミスが命を賭けて仇を取ろうとした愛弟子です。
″Come on boss!″が「親方、戦いましょうや!」はゲームの翻訳担当者さん間違いなく船匠組好きでしょうと言いたくなる位の素敵な翻訳ですね。
親方が止めたにも関わらず怪物と戦おうとしたのは、弟子であるマーカスの中にも船を守りたい気持ちが間違いなくあったからでしょう。そしてこういう時に親方に声をかけたのも、親方を心から信頼していて力を借りたかったという事であり親方と弟子の信頼関係が伺えますし、また親方もマーカスの仇を取りに行っていてお互い良い師匠であり良い弟子だったのでしょう。どうしてこの船に乗り合わせてしまったのですか……。当時の情勢を考えると名誉な事だったかもですが、後の結果を考えますと……。
彼も最後に出てくる損害査定書ににて「相続人の所在不明」と書かれる人物です。この辺りは勘当された等の説もありますが、印象でマーカスの年齢を推測するに35歳から40歳程で、1775年から1783年までアメリカ独立戦争があった事を踏まえますと戦争があったことで一家が離散して孤児となったマーカスを弟子として親方が引き取ったのではないかなと。マーカスもまた生活のために船大工として生きていくうちに、親方を家族のように慕うようになった……という背景があったのかもしれないという想像をすると、このようなことになってしまったのが更に悲しくなります。
ファンアート等では本編中の行動もあってか釘が曲がっていたとかまだ未熟な面のある人物として描かれているのをよく見ますが、実際のところはどうだったのでしょうか。助手という立場であるのを考えるとやはりそういう所はあったんじゃないかな、と思いますし親方に怒られながらも一人前になる日を夢見て、親方もマーカスが一人前になるまではこの仕事をやめられないとか考えながらマーカスに仕事を教えて、何年かあるいは十数年後に親方が「何も教えることはないこれからはお前がオブラディン号の船匠だ」と引き継ぎ親方はマーカスの仕事を今までとは違った目線から見守る……という事が、本編での出来事がなければあったかもしれませんね。



長文失礼致しました。
Part2はここまでです。途中難産な所があったり、余裕がなかったり等でPart1からだいぶ時間が空いてしまいました。時間はかかっても、必ず全員分やりたいです。